
生存競争は、人間も動物も変わらない。ここに、王座を巡って一歩も譲らず激しい闘いを繰り広げ、傷さえ癒えないままのライオンがいる。
このライオンは、息を引き取る瞬間まで傷を負った右目を適切に治療されることなく、癒えないまま過ごさなければならなかった。
事の経緯はこうだ。他のライオンとは違い、右目の傷が癒えないため「スカーフェイス」と呼ばれるライオンがいた。

公開された写真には、右目に傷跡を持ったままマサイマラ国立保護区で生息するライオンが映っている。
この写真を撮影した写真家のランダル・プール(Randall Poole)は、スカーフェイスについて「伝説だったし、これからも伝説となるだろう」と評した。
プール氏は「スカーフェイスは、マサイマラで最も有名で、最も多く撮影されたライオンとして世界中に記憶されるだろう」と高く評価した。

右目に癒えない傷を持つこのライオンは、周囲にハイエナなどがいない静かな場所で最期を迎えたと伝えられている。
この傷跡は、王座を巡って他のライオンたちとどれほど激しく戦い、地位を争ったかを物語っている。
ちなみに、ライオンの平均寿命は10年から14年とされている。
「百獣の王」として君臨してきたライオンでも、死を免れることはできなかった。