
ヒマラヤのエベレスト山岳地帯でドローンを活用した機材輸送と救助支援が本格化し、世界最高峰の登山環境が画期的に変わろうとしている。
20日(現地時間)、BBCは、ネパールのドローン技術スタートアップ「エアリフトテクノロジー(Airlift Technology)」が昨年から試験用ドローンでベースキャンプとキャンプ1の間の機材輸送を行っていたと報道した。エアリフトのドローンは、この結果を踏まえ、2025年のエベレスト登山シーズンから本格的に「機材輸送」と「ゴミ回収」などの実用的な任務を遂行する。数十年にわたり危険を冒して機材を運んできたシェルパたちの命を守ることに貢献すると期待されている。
エアリフトは今年4月、中国のDJIから寄贈されたドローン2機を使用して試験運航を開始した。ベースキャンプ(標高約5,364m)からキャンプ1(標高約6,065m)までの約2.9km区間を対象に機材輸送実験を実施した。この区間はシェルパたちが67時間かけて移動しなければならない険しい道のりだが、ドローンはこれをわずか67分で往復できる。
ドローンは酸素ボンベ、梯子、ロープなど生存に不可欠な機材はもちろん、今後は医薬品や救助物資まで運搬することが可能だ。実際に今年の初の試験運航では、約500kgに及ぶゴミをキャンプ1からベースキャンプへ運び出した。ドローン1機あたり最大30kgまで搭載できるが、安全性を考慮して約20kgずつに分けて輸送し、合計40回以上の飛行が行われた。

ドローン運用を統括する操縦士のミラン・パンデイ氏は「シェルパたちが登山ルートを事前に探索し、梯子やロープが必要な地点の座標を無線で伝えてくれれば、ドローンでその地点に機材を送る」と述べ、「これにより危険な氷河地帯の探索時間が短縮され、シェルパたちの安全確保に大きく貢献する」と説明した。
エアリフト社は2025年の登山シーズンには、登山開始前にドローンを活用した先制的な機材輸送を完了させる予定だ。登山が始まると、ゴミ回収など環境保全作業にも本格的に取り組む計画である。
今回のドローン活用は、2023年の雪崩で3人の仲間シェルパを失ったミンマ・G・シェルパ氏(イマジン・ネパル所属)の提案から始まった。彼は「中国ではすでにドローンを活用して機材を輸送している事例がある」と述べ、「エベレストでも十分に実現可能だと判断した」と語った。
ドローン輸送技術と現場のシェルパたちの数十年にわたる蓄積された経験が結びつき、エベレスト登山のパラダイムが変わりつつある。今後は登山の安全性向上だけでなく、環境保護の面でも大きな変革が期待される。