
フランシスコ教皇が21日(現地時間)に逝去したことに伴い、後継者への関心が高まっている。特に次期教皇として白人以外のアジア人やアフリカ人が選出されるかが注目を集めている。
イギリスの「テレグラフ」は「最有力候補が初のアジア出身教皇となる可能性がある」とし、フィリピンのルイス・アントニオ・タグレ枢機卿を挙げた。「ロイター通信」もタグレ枢機卿について「教皇に必要な全ての資質を備えている」と評価した。
これら海外メディアによると、タグレ枢機卿は「アジアのフランシスコ」と呼ばれており、フランシスコ教皇のユーモアや謙虚さ、進歩的な傾向が似ているとの評価から、この異名が付いたという。
タグレ枢機卿はフィリピンの神学校で約20年間過ごし、部屋にエアコンやテレビを置かなかったという。司教就任後も自家用車ではなくバスや「ジプニー」(10人乗りの改造ジープ型乗合車)で通勤していた。
2019年には教皇庁の福音宣教省(現・福音宣教部)長官に任命された。一部では、フランシスコ教皇がタグレ枢機卿に教皇庁での経験を積ませる狙いがあったとの見方もあるとロイターは伝えている。
中国系フィリピン人の母を持つタグレ枢機卿は、イタリア語と英語が堪能だ。しかし、67歳という比較的若い年齢が弱点として指摘されている。
テレグラフは「枢機卿たちは比較的若い人物を教皇に選ぶことを躊躇する」とし、「これは自身が将来教皇に選ばれる可能性と機会を潰すことになるためだ」と分析している。
ロイターはタグレ枢機卿以外に8人を次期教皇候補として挙げている。フランス・マルセイユ大司教区のジャンマルク・アヴリーヌ枢機卿(66)は、移民やイスラム教徒との関係でフランシスコ教皇と理念的に近いとされる。フランスのカトリック界では1958~1963年に在位したヨハネ23世に似ているとして「ヨハネ24世」とも呼ばれている。
ハンガリーのペーテル・エルデ枢機卿(72)は、2013年のコンクラーベ(教皇選挙)でも教皇候補として名が挙がった。欧州大陸のキリスト教的根源を強調するなど神学的には保守的だが、実務能力も評価されている。エルデー枢機卿が選出されれば、カトリック界の進歩・保守両陣営の妥協の産物と解釈される可能性があるとロイターは指摘している。
シノドス(世界司教代表会議)事務総長のマリオ・グレック枢機卿(68・マルタ)は、フランシスコ教皇の改革路線を支持してきた人物とされる。2014年には教皇庁での演説で、教会がLGBTQをより受け入れるべきだと主張し、保守派から批判を浴びた。
スペイン・バルセロナ大司教のフアン・ホセ・オメリャ枢機卿(79)は、フランシスコ教皇の人柄に似ているとされる。高位にありながら謙虚な生活を送ってきたとロイターは伝える。2022年のインタビューで「現実を富める者の目だけでなく、貧しい人々の目で見るべきだ」と語っている。
教皇庁国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿(70・イタリア)は、教皇庁の外交官出身で中道的な立場とされる。中絶やLGBTQ問題を巡る教会の「文化戦争」の前面に立つことはなかったが、かつて世界各国で同性婚が合法化された際には「人類の敗北」と批判したこともあるとロイターは伝えている。
米ニュージャージー州ニューアーク大司教のジョゼフ・トービン枢機卿(72)は、カトリックの主要修道会である救世主会のリーダーとして世界各国で活動し、イタリア語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語が堪能。ロイターは「世界の枢機卿たちが初のアメリカ人教皇を選ぶ可能性は低いが、選ぶとすればトービン枢機卿が最有力候補だ」と分析している。
その他、イタリア・ボローニャ大司教のマッテオ・マリア・ズッピ枢機卿(69)は移民や貧困層に焦点を当て、外面的な華やかさや儀式的要素をあまり重視しない「街の司祭」と呼ばれる。彼が選出されれば1978年以来初のイタリア人教皇が誕生することになる。
ピーター・コドウォ・アピア・タークソン枢機卿(76・ガーナ)は、ガーナでの長年の司牧経験と教皇庁での要職経験を兼ね備えた人物と評価されている。教勢が急成長するアフリカ地域出身であることも、彼の立場を強める要因になるとの見方もある。
韓国カトリック界内外では、兪興植(ユ・フンシク)枢機卿(73)の選出の可能性も注目されている。兪興植枢機卿は今回のコンクラーベで投票権と被選挙権を持っている。
韓国の枢機卿がコンクラーベに参加するのは、故金寿煥(キム・スファン)枢機卿がヨハネ・パウロ2世を教皇に選出した1978年10月の投票以来、約47年ぶりとなる。