金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮総書記の主導で平壌の中心に建設された53階建て高層マンションが、深刻な亀裂や腐食によって崩壊の懸念を呼んでいると、自由アジア放送(RFA)が25日伝えた。
報道によると、平壌市中心部に位置する未来科学者通りで最も高いこのマンションに住む入居者の間で不安感が広がっている。
未来科学者通りは金正恩が執権して以降、初めて平壌市内に造成された住宅地区で、2015年11月に完成した。全体で2,584世帯からなり、核・ミサイル開発に関与した科学者や技術者たちが主に居住している。

羅先(ラソン)市のある住民消息筋はRFAに対し「平壌未来科学者通りで最も高い53階建てマンションの住民たちが、建物の崩壊を心配している」と伝えた。この消息筋は「このマンションは未来科学者通りを象徴する建物であり、あちこちに壁のひび割れや壁面のモルタルやタイルの剥がれが見られ、不安が高まっている」と説明した。
該当マンションは原子核の形を模して設計された住商複合建築物で、当局は「銀河マンション」という名前を付けた。建物の頂上には高さ24メートル、重さ約40トンの地球と衛星を象ったオブジェが設置されている。消息筋は「当時当局はこの建物を『平壌の誇り』と宣伝していたが、完成からわずか10年であちこちに欠陥が現れている」と指摘した。
特に自宅周辺の壁にひびが入った住民たちは、より一層不安を感じているという。彼らは2014年5月に平壌市平川区域安山1洞で発生した23階建てマンションの崩壊事故を思い出し、懸念を隠せないでいる。当時の事故では数百人が亡くなったとされ、数日後、人民保安相や平壌市党責任書記が住民と遺族に公開謝罪した経緯がある。
また別の平壌市民消息筋は23日、「53階建てマンションの住民たちが崩壊の危険を心配しているのは事実」とし、「2〜3年前から壁面のセメントやタイルが剥がれたという話があり、最近ではあちこちにひび割れが発見されている」と語った。続けて「寒さの厳しかった今冬、外壁が凍結と融解を繰り返してひびが入った可能性がある」と付け加えた。
一部の住民は当局に民願(陳情)を出したものの、特別な対策は講じられていないという。消息筋は「若い頃に党で働いていた住民たちが危険性を提起したが、区域党も市党も何の対応もしていない」とし、「現在の平壌は5万世帯住宅建設にだけ集中しており、既存の建物の亀裂や腐食には関心を払っていない」と述べた。
また「平壌市内のマンションのうち、壁のモルタルが剥がれたりひびが入ったところは数え切れないほどある」とし、「これらすべての問題の根源は当局の『スピード戦』にある」と主張した。さらに「この53階建てマンションも専門建設機関ではなく軍部隊が動員され、わずか9カ月で建設された」と明らかにした。
消息筋は「金正恩時代に建てられたマンションはすべてひどい」とし、「最近新しく建設された通りやマンションも外観は立派だが、実際の建設品質は過去よりはるかに劣っている」と語った。