優れた演技力を誇り、名優の名をほしいままにするロバート・デニーロが自身の政治的スタンスにしたがい、ドナルド・トランプ前大統領を痛烈に批判した。
「聯合ニュース」および、アメリカの現地メディアによると、デニーロは29日、ニューヨーク最高裁判所刑事裁判所前に現れ、そこでトランプ前大統領を強く非難した。
デニーロはその場にいた報道陣に対し、「トランプが(大統領選に当選し、)ホワイトハウスに戻ることになったら、今、私たちが当然だと思っている自由に別れを告げることになるだろう。私はこの街、ニューヨークを愛しており、現在のニューヨークの姿を失いたくない。しかし、トランプはこの街だけでなく、国をも破壊し、結局は世界を破壊するだろう」と声を上げた。
トランプ前大統領は、ポルノ女優のストーミー・ダニエルズに対し、不倫関係の口止め料を支払ったが、その支出を隠すために弁護士費用と偽り不正に処理したとして、帳簿などの業務記録を改ざんした罪に問われている。そして、本刑事裁判に対する最終弁論がこの日行われた。
デニーロは裁判所前に現れた理由と背景について、ジョー・バイデン大統領の選挙キャンプから依頼があったことを認めた。デニーロは「バイデン政権が私に声をかけてきて、私も何か発言するべきだと思った。こんな行動は望んではいなかったが、他の方法が見つからなかった」と述べた。
トランプ前大統領の側近、ジェイソン・ミラーはデニーロの公開批判に憤慨した。ミラーは「彼はいまや落ちぶれた俳優だ」とし、「バイデン支持者たちはこの数ヶ月、裁判は政治とは別物だと主張してきた。しかし、トランプ前大統領の裁判日に現れては選挙運動をしている」と非難した。
そして、「この裁判自体がバイデン大統領側の政治的な意図から生じたものだ」と付け加えた。
なお、アメリカ大統領選挙の投票日は11月5日に予定されている。現職のバイデンと前職のトランプが前回の大統領選挙に続き「リターンマッチ」を繰り広げる展望だ。
一方、デニーロは映画『ゴッドファーザー PART II』で1975年のアカデミー助演男優賞を、『レイジング・ブル』で1980年のアカデミー主演男優賞を獲得するなど、俳優として華麗なキャリアを過ごしてきた。
今年80歳を迎えるが、長年の友人でもあるマーティン・スコセッシが監督した『Killers of the Flower Moon』や『About My Father』など昨年も2作品に出演するなど、活発に活動している。