韓国では、法律分野での人工知能(AI)の活用が注目され、民間企業はもちろん、裁判所や検察等の調査機関も次々とAI導入にスピードを上げている。大量の文書を扱う分野であるため、AIが導入されると生産性が大幅に向上すると予想されている。
裁判業務にもAI活用
20日、韓国法曹界によると、最高裁判所、裁判所行政処が公開した「2024年裁判所情報化事業計画」で、裁判業務支援のためのAIモデル開発事業に約3億2000万ウォン(約3660万円)を配分した。裁判所のデータを基にしたAIモデルを開発し、裁判業務を効率的に支援するという構想だ。
また、刑罰基準運用点検システム及び刑罰情報システムの高度化のためのAIシステム構築にも約3億9400万ウォン(約4500万円)を配分した。AIを導入して刑罰情報を管理し、ビッグデータ統計分析等の効率性を追求するという趣旨だ。
検察でも次世代刑事司法情報システム(KICS)導入と同時にAI技術を事件処理に導入する方針を推進している。最高検察庁は昨年8月、生成型AIの検察事件処理業務活用方案に関する研究用途として取り入れた。
該当研究を実施したカトリック大学産学協力団が提出した最終報告書によると、検察実務家たちは調査報告内容や、起訴内容、類似判例内容等を探す際、現行のキーワード検索方式の限界を感じていることが明らかになった。大量のデータの中からキーワード基準で必要な情報を得るのが難しいということだ。
産学協力団はAIモデル導入により、実務家たちが類似事件を検索する過程で業務処理過程を効率的に減らすことができると見ている。また、供述書の要約分析やメッセンジャー、PC内で有意義な情報を抽出することもAIを通じて効率化できるとした。
法律事務所までリーガルテックサービスの拡大
民間法律市場では、法律事務所やリーガルテック企業が次々とAIを導入している。「ロートーク(LawTalk)」サービスで知られているローアンドカンパニーは、今年上半期には弁護士をターゲットにした生成型AI基盤ビジネスソリューション「スーパーロイヤー」を発表する予定だ。ここには法律リサーチ、法律文書初稿作成、法律文書の要約及び争点整理等の機能が搭載される予定だ。
検索サービスを提供しているエルボックスもAIを基にした対話型検索サービス「エルボックスAI」を発表した。該当サービスは法曹人を対象に提供されており、既存のキーワード基準検索と比較して生産性を大幅に向上させることができると伝えた。
法律事務所の中では、法務法人大陸亜州がネイバーと手を組んで昨年3月に出した「AI大陸亜州」が目を引く。AI大陸亜州はAI基盤の法律Q&Aチャットボットで、法務法人としては大陸亜州が国内で初めて試みたサービスだ。法律分野でのAI導入が盛んだが、その範囲をどこまで定めるべきかはまだ課題が残される。
最近、大韓弁護士協会(弁協)は法務法人大陸亜州とAI基盤サービスを提供するリーガルテック企業等の違法疑いについて調査に乗り出した。業界では、AIサービスの定着のための政府レベルの具体的なガイドライン策定を急ぐべきだという提案が出ており、あるリーガルテック業界関係者は、「AIは我が国だけでなく世界的に見ても止められない流れ」とし、政府がこれに関連したガイドラインを早急に整備できれば、民間でもシグナルに合わせてサービスを迅速に導入できるのではないかと指摘した。