夜に電気をつけたまま寝る人は意外と多いが、明るい環境で眠ることが私たちの身体にどのような影響を与えるかを正しく理解している人は少ない。
暗い環境で睡眠をとるべき理由と方法について考えてみよう。
睡眠不足が続くと、私たちの身体は慢性疾患のリスクが高まる。
身体のすべての機能が正常に働くためには、7~8時間の質の高い睡眠が不可欠だ。エネルギー水準、気分、記憶力、心臓の健康、体重管理、ストレス管理など、多くの身体機能が睡眠に左右される。
結果として、睡眠不足が続くと、高血圧、糖尿病、肥満、うつ病などのさまざまな健康問題が生じる可能性がある。したがって、質の高い睡眠を維持することが非常に重要だ。
一方で、明るい光は睡眠に悪影響を及ぼす。光は脳を刺激し、私たちを覚醒状態にする。ある研究では、夜に光にさらされた人々は、平均して10分間睡眠時間が短かったことが明らかになった。
さらに、私たちの身体は暗くなることで脳からメラトニンというホルモンが分泌される。メラトニンは眠気を誘発し、睡眠-覚醒サイクルを調整するが、光にさらされるとこのホルモンの分泌が遅れ、睡眠が妨げられることになる。
その結果、明かりをつけたまま寝る人は、消して寝る人に比べて、疲労感、混乱、過度の眠気などをより頻繁に感じやすい。特に、明るい光やブルーライトはメラトニンの分泌を抑制し、睡眠に悪影響を与えるという研究結果もある。
生体リズムは光の影響を受けて睡眠と覚醒を調節するが、夜間の光露出は生体リズムを混乱させ、自然な睡眠パターンを妨げることになる。
では、質の高い睡眠を確保するために最適な環境を作るにはどうすればよいのか?
明るい街灯が多い地域に住んでいる場合は、睡眠中に光が入り込まないようにすることが重要だ。遮光カーテンやブラインド、アイマスクなどを使って、外からの光が入らないようにすることが大切だ。
また、スマートフォンやその他の電子機器の光を遮り、目覚まし時計の光も抑えることが効果的だ。就寝の約1時間前からはスマートフォンやテレビの使用を避けることが望ましい。
改善してもなお睡眠に困難を感じる場合には、専門機関に相談することをおすすめする。専門家の力を借りて睡眠環境を整え、必要に応じて適切な診断や治療を受けることで、症状は緩和が期待できる。