友人宅で水を飲んだ30代男性が、数年後に肺が深刻な損傷を受けたという事例が明らかになった。
19日、イギリスのメディア「ザ・ミラー」によると、30代のオーストラリア人、クリス・キャッパー(33歳)は、濾過されていない湧き水を飲んだ後、肺の3分の1が細菌に感染し、さらに敗血性関節炎を発症したことが報じられた。
濾過されていない湧き水が「非結核性抗酸菌」感染の原因だと主張
非結核性抗酸菌感染と診断されたこの男性は、友人の家で飲んだ天然の湧き水が原因だと主張しているが、現時点ではその直接的な関連性は確認されていない。
キャッパーは2021年7月、オーストラリアのクイーンズランド北部マウント・エリオットにある友人宅で天然の湧き水を飲んだ。
水を飲んだ後、その後、体に熱が出て、頻繁に咳をし、簡単に疲れるといった症状が現れた。近くの病院で検査を受けたものの、当初は正確な原因を特定することができなかった。。
2年後の昨年7月、X線検査により肺に穴が開いていることが判明し、6週間後には肺の3分の1が細菌に感染しているという診断を受けた。原因は、土や水、ほこりに存在する「非結核性抗酸菌(NTM)」によるものだった。
NTMは人から人へ感染するのではなく、環境に曝露することで感染する。特に免疫力が低下している人や、既に肺疾患を持っている人が環境中のバクテリアにさらされると発症しやすい。また、NTMは浄水処理で塩素消毒を行っても殺菌されないほど強い生存力を持っている。
アメリカのクリーブランドクリニックによると、NTM感染の症状は感染部位によって異なるが、肺に感染した場合、主に咳、呼吸困難、疲労、発熱、体重減少、痰、胸痛といった症状が現れる。
キャッパーの場合、肺に感染した菌が肘にまで広がり、「敗血性関節炎」を引き起こしたほか、左の腰骨や皮膚にも細菌が拡散した。
彼は「何もできない状態だ。病院でもこの菌について詳しくわかっていない。毎日16錠の薬を飲んで耐えているが、まるで死を待っているような気分だ」と語っている。
敗血性関節炎…深刻な関節損傷を引き起こす恐ろしい疾患
敗血性関節炎は細菌性関節炎、化膿性関節炎、感染性関節炎などと呼ばれ、細菌が血流を通じて急速に増殖し、わずか1、2日で深刻な関節損傷を引き起こす恐れがある、非常に危険な病気として知られている。
病院側はキャッパーが基礎疾患として1型糖尿病と嚢胞性線維症を患っており、免疫系が弱まっていたため、細菌感染に対して特に脆弱だった可能性が高いと分析している。
嚢胞性線維症は先天性の遺伝疾患で、CFTR遺伝子の変異によって体内の粘液、汗、消化液などが過剰に粘り気を持つようになることで発症する。この結果、粘液が肺や消化器官に蓄積し、呼吸障害や感染、消化不良などの問題を引き起こす。
一方で、湧き水は見た目がきれいでも、そのまま飲むのは危険な場合がある。アメリカの栄養士、ギリアン・カーバーソンは「湧き水のように濾過されていない水は、岩盤を通過する過程で有機物と接触し、バクテリアが繁殖しやすい環境になることがある」と指摘し、「適切な濾過や汚染除去を行わない水を飲むことで、気づかないうちに健康を害し、深刻な苦痛を引き起こす可能性がある」と助言している。