美容室で、頭を後ろに傾けて髪を洗う際に、突然脳卒中の症状が現れる可能性があるという警告が話題になっている。
先日19日、英紙「デイリーメール」の報道によると、インドの神経外科医アルン・ナヤック博士が、髪を洗う際に首を過度に後ろに傾けることの危険性を指摘した。博士によれば、首を無理に反らせると「美容室症候群」と呼ばれる状態が発生する可能性があるという。
美容室症候群とは、首の動脈が圧迫または損傷され、脳への血流が遮断される状態を指す。これが長時間続くと脳卒中に至る危険性がある。
この症候群が初めて報告されたのは1993年のアメリカだ。その後、2016年には英国グラスゴーで、髪を染める最中に6回頭を洗った女性が、24時間にわたり言語障害や視覚障害、聴覚障害に悩まされるという事例が報告された。また、アメリカのサンディエゴでは、体格に合わない椅子と洗面台を使用したため、首が過度に伸びたことが原因で脳卒中を起こした女性の事例もある。
ナヤック博士によると、美容室症候群の初期症状として、めまいや視界のぼやけが挙げられる。髪を洗っている最中やその直後にこうした異常を感じた場合は、すぐに美容師に伝え、医療機関を受診するべきだと助言している。
この症候群の症状には、顔面や腕、脚の片側が突然麻痺する、混乱、強い頭痛なども含まれるが、これらは典型的な脳卒中の兆候でもある。
予防策としては、髪を洗う際に首を支えるための十分なサポートを確保することが重要だ。洗面台や椅子の高さを調整し、首が無理に反らないようにすることが推奨される。また、首の下にタオルやクッションを置くことで、首が過度な伸びるのを防げるとナヤック博士は説明している。首の動脈に過度の圧力が加わると、血流が遮断されることもある。さらに、髪を洗う際に首を後ろに傾ける時間は3分以内に抑え、それ以上時間がかかる場合は定期的に姿勢を変えることで首への負担を軽減する必要がある。
一部の美容師が施術中に頭や首に圧力をかける場合があるが、これが不適切だと、首や肩の筋肉が圧迫され、血管や神経が損傷を受ける可能性がある。また、首の筋肉が圧迫されると、頸動脈が圧迫されて脳への血流が妨げられる恐れがある。
これまでの報告では、美容室症候群は主に50歳以上の人々に多く見られるという共通点がある。循環器疾患、動脈硬化、高血圧、糖尿病などの基礎疾患を持つ人は特に注意が必要だ。
ナヤック博士は、これらの既往歴がある人は、美容室スタッフに事前に伝えるとともに、携帯用スプレーボトルを使用して座った状態で髪を湿らせる方法を検討するよう提案している。