日本のリハビリテーション医学の専門家が、60~80代でも簡単にできる「3秒筋トレ法」を提案し、注目を集めている。
24日、フジニュースネットワーク(FNN)の報道によると、西九州大学リハビリテーション学部の中村雅俊准教授が、簡単な動作だけで高齢者の筋力を向上させる運動法を開発した。中村准教授によると、この運動を通じて60~80代の高齢者でも2か月半で筋力が約30%増加するという。
中村准教授は筋力低下を診断するための3つのチェックポイントとして、「片足で30秒以上立てない」、「片足で椅子から立ち上がれない」、「しゃがむことが困難」を挙げた。また「筋肉の衰えはサイレントキラーだ」と指摘し、「30歳以降、運動しなければ毎年1~2%ずつ筋肉が減少し、80歳では30~40%も減少する」と警告した。筋力の低下は高血圧や糖尿病、認知症などのリスク要因となることが知られている。
中村准教授が特に強調したのは、全身の筋肉の3分の2を占める脚とお尻の筋肉強化だ。
そのために彼が提案した「3秒筋トレ法」は、「ゆっくり椅子に座る」と「ゆっくりかかとを下ろす」の2つの動作である。「ゆっくり椅子に座る」は、胸の前で腕を組みながら3秒かけてゆっくり椅子に座る動作で、大腿四頭筋やハムストリング、大臀筋を鍛える。「ゆっくりかかとを下ろす」は、椅子の背もたれに手を置き、かかとを上げた後、3秒間かけてゆっくり下ろす動作で、ふくらはぎの三頭筋を鍛える。
実際に60~80代のシニアがこのトレーニングを行うと、「ゆっくり」動作を維持するのに苦労するという。ポイントは「3秒間」ゆっくりと慎重に動作を行うことだ。時計を見ずに数えると実際より早くなりがちなので、1から5まで数えるのが効果的だとアドバイスしている。
さらに「運動が難しいと継続が困難になる」と指摘し、「3秒という短い時間設定で運動へのハードルを下げたかった」と説明した。なお、中村准教授は昨年、新潟医療福祉大学で実施した「3秒筋力トレーニング」の効果に関する研究結果を国際学術誌に発表し、ニューヨーク・タイムズなどの海外メディアで注目を集めた。