下半身の筋肉は男性の健康において重要な役割を果たす。年齢とともに筋肉量が減少するため、下半身の筋肉を維持するには運動が必須となる。下半身の筋肉の重要性と効果的な運動法を紹介する。
下半身の筋肉が発達すると毛細血管が増え、血液循環が改善される。これにより、男性ホルモンであるテストステロンの分泌が促進される。男性が下半身の筋肉を重視すべき理由はここにある。
大腿部の筋肉は糖分を貯め込み、また代謝にも関係している。高齢化すると、大腿部の筋肉を発達させることで、同じ量の栄養素を摂取してもより長時間エネルギーを維持できるようになる。
下半身の筋肉量は疾病リスクとも密接に関連している。下半身の筋肉が不足すると、血液が上半身に集中し、高血圧や脳卒中のリスクが高まる。
しかし、年を取ると毎年約10%の筋肉量を失ってしまう。これを防ぐには、積極的な運動が必要である。
高齢者は特に大腰筋、内転筋、大腿四頭筋、ハムストリングスの強化が大切だ。これらの筋肉を鍛えることで、血液循環の改善と代謝促進の効果が期待できる。以下に、鍛えるべき4つの筋肉と具体的な運動法を紹介する。
1. 大腰筋
大腰筋は腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉で、脚の上下運動を司る。加齢により階段の昇降が困難になるのは、大腰筋の衰えが原因であることが多い。
大腰筋を強化するには、片膝を立てて仰向けになり、反対側の脚をゆっくりと上げ下げする動作を繰り返すこの運動が効果的だ。
2. 内転筋
内転筋は骨盤から大腿部の後ろにかけて伸びる筋肉で、脚を内側に引き寄せる役割を果たす。内転筋を鍛えることでバランス感覚が向上し、排尿障害や前立腺疾患、痔の予防にも効果が見られる。
仰向けになり膝を立て、膝と膝の間に枕を挟み、臀部と骨盤を持ち上げてゆっくり下ろす運動を行ってみよう。
3. ハムストリングス
ハムストリングスは大腿部の後ろ側の筋肉で、歩いたり走ったりする時の速度を調整したり、方向転換や脚の動きの制御に重要な役割を果たす。
この部位を強化すると敏捷性の向上に繋がり、下り坂を歩くときの転倒リスクを軽減させる。うつ伏せの体勢で足首に枕やボールを挟み、脚を後方に曲げて持ち上げ、ゆっくり下ろす運動を繰り返してみよう。
4. 大腿四頭筋
大腿四頭筋は大腿部の前側の大きな筋肉で、関節に直接影響を与える。変形性関節症患者のリハビリでも重点的に強化される部位だ。大腿四頭筋を発達させると、歩行時の関節への負担が軽減され、関節の動きがスムーズになる。
壁に背中をつけて立ち、足は肩幅に開き、大腿部が床と平行になるまで膝を曲げ、ゆっくりと伸ばす運動が効果的だ。
注意点
怪我のリスクが高まるため、過度な筋力増強を目指して無理に運動を始めるのは危険である。
運動を始める前に、まずは体を柔らかくすることが大切だ。また本格的な筋力トレーニングを始める1ヶ月前から、十分な水分摂取や減塩を心がけるのも効果的だ。
そうしたのち、有酸素運動と下半身の筋力トレーニングを組み合わせるのが望ましい。有酸素運動は一度に30分程度行うのが適切で、大腰筋運動は毎日30回を3セット、その他の運動は20回3セットを目安に行うのがよい。