寒い時期になるとトイレに行く回数が増えると言われている。気温が下がり、体内の水分が汗などで排出されやすい夏に比べ確実に増加する。しかし、頻繁に尿意を感じる場合は、膀胱の病気を疑う必要がある。
膀胱は空洞の袋状の筋肉器官で、尿の貯蔵と排出を担う。体内での物質代謝後に生成される様々な老廃物を含む尿は、成人の場合1日1〜1.5ℓが適量とされる。透明で澄んだ尿が健康の証だ。
膀胱炎は、膀胱が細菌に感染して炎症を起こす疾患で、膀胱の機能障害を引き起こし、様々な排尿障害症状が現れる。最も一般的な症状は、1日8回以上の頻尿だ。
他にも、突発的で激しい尿意を感じ我慢できない尿意切迫感、排尿時の痛み、排尿後の残尿感などの膀胱刺激症状が現れる。血尿や悪臭を伴う濁尿が見られることもある。
膀胱炎は男性よりも女性に多く見られるのも特徴的だ。これは身体的特徴によるもので、女性は肛門と尿道が近く、男性よりも尿道が短い。細菌が膀胱内に侵入しやすいため炎症を起こしやすいとされる。
抗生物質で比較的容易に治療できるため、積極的な治療が望ましい。適切な治療を受けなければ、発熱や悪寒などの全身症状を伴う腎盂腎炎に進行する可能性があるため放置は危険だ。
膀胱の風邪と呼ばれるように罹患しやすい疾患だが、日常の習慣で予防することも可能だ。特に排便や排尿後の会陰部や肛門の洗浄は前から後ろへ行うことが重要で、性行為の前後は生殖器を清潔に保ち、性行為後は排尿する習慣をつけるべきだ。
また、尿を我慢しすぎるのも良くない。女性の場合、頻繁な膣洗浄はかえって正常な細菌を死滅させ、膣内の細菌増殖を招く原因になる。
一方、膀胱炎の症状は過活動膀胱の症状と類似しており、混同しやすい。国際尿失禁学会(ICS)の定義によると、過活動膀胱は尿路感染や他の明らかな疾患がなく、切迫性尿失禁の有無に関わらず尿意切迫(突発的で激しい尿意を感じ、我慢できない症状)があり、頻尿と夜間頻尿(夜間睡眠中の排尿)を伴う場合を指す。
過活動膀胱は膀胱炎のような細菌感染による疾患ではなく、症候群に近い。原因が多様で、膀胱炎とは原因や治療法が異なるため、自己診断せず専門医の診察を受けることが望ましい。