インフルエンザに関する話題は、ニュースで頻繁に取り上げられ、私たちにとって馴染み深いものだ。しかし、その危険性や特徴について正確に理解している人は少ないのが現状である。特に「A型」と「B型」のインフルエンザの違いや、それぞれの感染経路、予防法について詳しく知る機会は多くない。
これらの違いを明確にするため、感染症の専門家である忽那賢志氏が「メディカル独」にてインフルエンザの種類と特徴、そして予防法について解説した。
忽那教授によれば、A型インフルエンザは変異が頻繁で、動物から人への感染リスクが高い。そのため、パンデミック(世界的大流行)を引き起こす可能性が高いのが特徴である。一方、B型インフルエンザは主に人間同士の間で感染が広がり、大規模な流行には至らないが、症状が長期間続くケースも多いという。
さらに、「新型インフルエンザ」という表現は、A型インフルエンザに大きな遺伝子変異が生じ、新たなウイルスとして注目される際に使用される。このウイルスは、細胞への侵入に重要な役割を果たす「ヘマグルチニン」と「ノイラミニダーゼ」という二つの主要な構成要素によって分類される。
これらの組み合わせに基づき、H1N1やH3N2といった亜型に分類されるが、変異が頻繁であるため、新しい流行ウイルスが出現するリスクも高い。また、一度感染して免疫を獲得しても、時間が経つにつれて再感染のリスクが高まる点も特徴的だ。
B型インフルエンザはA型に比べて変異が少なく、細かく分類されることはない。しかし、A型と同様に、一度感染して免疫が形成されても、時間の経過とともにその効果が薄れ、再感染のリスクが生じる。
A型インフルエンザとB型インフルエンザは流行時期にも明確な違いが見られる。一般的にA型は冬の早い時期から春にかけて流行し、ピークは2月から3月である。一方、B型はその後も残り、4月や5月にも散発的に感染例が報告されることがある。そのため、シーズン終了と油断している時期にB型に感染するケースも少なくない。
症状に関しては、A型とB型の間に大きな違いは見られないが、B型は一部の抗ウイルス薬が効きにくい場合があり、その点で治療が難しいケースも報告されている。
忽那教授は、「手洗いやマスク着用は基本中の基本」とし、「特に症状がある人は周囲にウイルスを広げないよう注意が必要だ」と述べた。また、バランスの取れた食事や十分な休息を通じて免疫力を維持することも重要だと強調している。さらにワクチン接種について、「インフルエンザワクチンは感染を完全に防ぐものではないが、重症化を予防する効果は非常に高い。特に高齢者や基礎疾患を持つ人は必ず接種すべきだ」と呼びかけた。
これから本格化するインフルエンザシーズンに備え、何を準備すればよいのか。その答えは明白だ。手洗いや予防策の徹底に加え、免疫力を低下させない健康管理を行うこと。それが、インフルエンザから身を守る最善の方法である。