朝起きるたびに指や腰などが痛む場合、それは体内の炎症が原因である可能性がある。最近の研究で、生体時計が免疫細胞であるマクロファージ(大食細胞)の活動を調節していることが明らかになった。アイルランド王立外科大学のジェームズ・オサリバン教授率いる研究チームは、先月17日に国際学術誌「The FASEB Journal」でこの研究結果を発表した。
研究では、マクロファージが1日の中でどのように機能するかについて詳しく調査された。炎症とは、細胞感染やストレスに反応して炎症複合体が活性化される際に発生する現象だ。マクロファージは、NLRP3という炎症複合体を活性化させるが、研究によれば、このNLRP3の活動は生体時計によって調節されているという。
一般的に、生体時計は光に影響を受けるとされているが、マクロファージの場合、ミトコンドリアの代謝率によってその活動が調整される。ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを生成する重要な小器官だ。
研究チームは、ミトコンドリア膜電位を基準にマクロファージの活動を分析した。その結果、生体時計を制御する遺伝子がミトコンドリア膜電位を上昇させた際、NLRP3の活性化がさらに強まることが分かった。そして、マクロファージの反応が最も強くなる時間帯は、通常、朝であることが確認された。研究チームは「マクロファージが朝であることを認識すると、NLRP3の活性化がより迅速かつ強力に進む」とし、「その結果、怪我や感染による痛みが最も激しくなる朝に、免疫反応がピークに達する」と説明した。
実際に、炎症が主な原因となる疾患は、朝に症状が悪化しやすい。代表的な例として、リウマチ性関節炎や強直性脊椎炎が挙げられる。リウマチ性関節炎は、免疫系が誤作動して自身の組織を攻撃する自己免疫疾患である。指が1時間以上こわばり、痛む「朝のこわばり」が特徴的な症状だ。一方、強直性脊椎炎は脊椎に炎症を引き起こし、朝に脊椎がこわばる症状が多く見られる。
オサリバン教授は「今回の研究を通じて、炎症性疾患の治療方法に新たな可能性が見えてきた」とし、「例えば、マクロファージの活動がピークを迎える時間帯に合わせて薬を投与する治療法が考えられる」と述べた。