冷めた食べ物を再加熱して食べると、腹部膨満感やガス、痛みなどの消化器系の問題が起こる可能性があるため、注意が必要だ。特に白米やジャガイモなどの炭水化物が多い食品は、問題を引き起こしやすい。冷めた炭水化物食品を再加熱すると、その化学構造が変化し、耐性デンプン(レジスタントスターチ)が増加するからだ。
耐性デンプンは消化酵素に反応せず、小腸で吸収されることなく、大腸の細菌によって分解されるデンプンである。このデンプンは消化されにくく、食物が腸内で発酵してガスを発生させ、腹痛を引き起こす原因となる。過敏性腸症候群などの消化器系の疾患がある場合、耐性デンプンの摂取により、腹痛や便秘、下痢などの症状が悪化することがあるため、特に注意が必要だ。
英国食品基準庁(FSA)は、食べ残しを安全に再加熱する方法を推奨している。炭水化物を多く含む食品を再加熱するには、調理と保存段階から注意を払う必要があるとFSAは述べている。FSAによると、調理後2時間以内に冷蔵庫(摂氏8度以下)に保存することが重要だ。再加熱時には食中毒を避けるため、内部まで均一に熱を通すことが必要である。そのため、再加熱の際は途中でかき混ぜたり、適切な時間と温度を維持することが求められる。
サルモネラ菌やカンピロバクターなど、食中毒を引き起こす細菌は低温環境では生存できないため、再加熱時には食品の内部が63度以上に達するように加熱することが推奨される。また、食べ残しを2回以上再加熱することは避けるべきだ。何度も再加熱すると、耐性デンプンがますます消化しにくくなり、消化不良やガスを引き起こす原因となるほか、残留している細菌が再び繁殖するリスクも高まる。そのため、食べ残しは最大でも一度だけ再加熱し、必要な分だけを取り分けて加熱し、残りは冷蔵庫で保存することが推奨される。