朝食は、夜間に消費されたエネルギーを補充し、代謝を活性化させ、元気な一日のスタートを切るために重要だと言われている。しかし最近の研究によると、朝食を食べても、その量や質によっては健康に悪影響を与える可能性があることが明らかになった。
スペインのデルマ病院の研究チームは、55〜75歳の成人383名を対象に朝食習慣と健康状態を追跡調査した研究結果を発表した。この研究結果は、国際学術誌「栄養、健康、加齢ジャーナル」2024年12月号に掲載された。
今回の研究対象者は全員、メタボリックシンドローム(代謝症候群)を抱えていた。メタボリックシンドロームは、高血圧、高血糖、内臓脂肪型肥満、異常脂質血症などの状態が複合的に見られる症候群で、心臓病、脳卒中、糖尿病のリスクを高める。
研究チームは参加者に、地中海食を基盤にした体重管理と生活改善プログラムを提供した。朝食の質を評価するため、研究チームは9つの栄養成分を基準にした食事バランススコアを使用した。このスコアは、世界保健機関(WHO)が推奨する1日の摂取量基準に基づき、タンパク質、脂肪、食物繊維、カリウム、カルシウム、鉄分、加糖、飽和脂肪、ナトリウムが含まれている。
各栄養素は0から100点で評価され、カリウムと飽和脂肪の点数は最終的に2倍に加算される。高いスコアは、栄養の質が高いことを意味する。
研究結果によると、朝食の摂取量が過剰または不足していた参加者は、1日のカロリー摂取量の20〜30%を朝食で摂取した参加者に比べて健康状態が悪く、体格指数(BMI)やウエストサイズが大きかった。血液検査では中性脂肪の値が高く、HDL(良好)コレステロールの値が低かった。また、栄養品質の低い朝食を摂った参加者は、ウエストサイズが太く、血中の中性脂肪が高く、腎機能の低下も見られた。
研究チームは、理想的な朝食は1日のカロリー摂取量の20〜30%を占めるべきだと述べている。たとえば、1日2,000kcalを摂取する人ならば、朝食は400〜600kcalが適切だという。研究を率いたエルビラ・エルナエス博士は「朝食は1日の中で最も重要な食事ですが、何をどのように食べるかが鍵となる」と述べ、「適量を摂取し、栄養バランスの良い食事を心がけることが重要である」と強調した。