地中海食が記憶力や認知機能を改善する可能性があるとの研究結果が明らかになった。地中海式食事法とは、全粒穀物、野菜、果物、魚、オリーブオイルを主に摂取し、赤身肉や砂糖の摂取を抑える食事スタイルである。
先月18日、米テゥレーン大学の研究チームが国際学術誌「腸内細菌報告」を通じて、このような研究結果を発表した。研究チームは10週齢のマウスを2群に分け、一方にはオリーブオイルや魚、食物繊維が豊富な地中海食を、もう一方には飽和脂肪が多い西洋式食事を与えた。その後、腸内微生物叢、記憶力、認知機能の変化を比較した。
研究の結果、地中海食を摂取したマウスでは、有益な腸内細菌が増え、特定の5種類の細菌が減少した。この腸内微生物叢の変化が、迷路テストにおける記憶力や学習能力に良い影響を与えたとされる。また、地中海食を摂取したマウスは、新しい情報を取り入れる認知的柔軟性や作業記憶が向上しただけでなく、悪玉コレステロールとされるLDL（低密度リポタンパク質）の数値も低かった。
テゥレーン大学のデメトリウス・マラガノレ教授は、「これは動物実験で得られた結果だが、地中海食が記憶力の改善や認知症リスクの低下と関連しているという人間を対象にした研究とも一致している」と指摘し、「若者の学業や成人の仕事のパフォーマンスを向上させる可能性がある」と述べている。さらに、他の研究でも地中海食の有益性が報告されている。コロンビア大学の研究では、地中海食を実践している人は、アルツハイマー病の発症リスクが68%低いことが示された。また、オーストラリア・シドニー大学の研究によると、地中海食を厳格に守った女性グループでは、心血管疾患のリスクが24%低かった。