寒い季節になると腰痛が悪化する人が多い。それでは、なぜ冬になると腰の痛みがひどくなるのだろうか。
冬季には体温を維持するために血管が収縮し、自律神経系の機能が低下する。その結果、血液循環が滞り、筋肉が緊張状態になる。さらに、脊椎の関節や軟骨が収縮して柔軟性が低下し、腰に弱点を抱える人は特に痛みを感じやすくなる。こうした状況では、普段の生活習慣が痛みをさらに悪化させる要因となる。
腰痛を軽減するためには、日常的な姿勢の見直しが不可欠だ。椅子の端に腰掛ける習慣は、脊椎や骨盤に過度の負担をかけ、筋骨格系疾患を引き起こすリスクを高める。座る際には、臀部を椅子の奥までしっかりと付け、背筋をまっすぐ伸ばすことが重要だ。また、両足を地面にきちんとつけて体重を分散させる姿勢が理想的である。
さらに、足を組む習慣にも注意が必要だ。足を組むことで脊椎や骨盤が歪み、神経を刺激して椎間板ヘルニアや脊柱側弯症を引き起こす可能性があるからだ。デスクワーク時に足を組む習慣を改善するためには、椅子の下に足置きを設置し、足を安定させることが有効だ。また、机と椅子の間隔を狭く設定することで、より良い姿勢を保つことができる。
床に座る生活スタイルも腰痛の原因となりやすい。硬い床の上で正座やあぐらをかくと、骨盤が後ろに倒れ、腰が真っ直ぐになりすぎる「ストレートバック症候群」を引き起こす。こうした姿勢では腰椎の下部に負担が集中し、腰痛を招きやすくなる。また、床に長時間座ったまま腰を曲げていると、腰には体重の2~3倍もの負荷がかかる。どうしても床で生活しなければならない場合は、背もたれのある座椅子を活用するのが望ましい。
腰痛を予防するには、日頃から継続的に運動を行い、腰部と腹部のコア筋肉を強化することが効果的だ。代表的なコアトレーニングとして、仰向けに寝て臀部を持ち上げる「ブリッジ」や、肘と爪先で体を支える「プランク」が挙げられる。
ある研究では、週3回、1か月間プランク運動を実施したところ、腹部の厚みが減少し、腰痛患者の痛み指数が大幅に低下したとの結果が報告されている。半身浴も腰痛を和らげるのに効果的だ。体温よりやや高めの37~39°Cのお湯に20~30分浸かることで、血行が促進され、筋肉や関節がリラックスする。ただし、高血圧を持つ人は注意が必要である。血行が過度に促進されると血圧が上昇する可能性があるため、無理をしない範囲で行うべきだ。また、普段から腰や腹部を冷やさないよう心掛けることも重要だ。毛布やカイロを活用して、腰部を温めることで痛みを予防することができる。