誰もが心配や悩み、ストレスが原因でなかなか寝付けない経験をしたことがあるだろう。眠れない状態が続くと不眠症につながり、生活の質が低下する恐れがある。不眠症の治療には、薬の助けを借りるか、睡眠習慣を改善することが重要だ。
保健福祉部の国家精神健康情報ポータルによると、不眠症とは翌日の活動に支障をきたすほど量的・質的に十分な睡眠が得られない状態を指す。ストレスに加え、「不眠症状が続いたらどうしよう」という不安や恐怖で自律神経が興奮し、不眠が再発する悪循環に陥る。慢性不眠症の有病率は6%に達するという研究結果もある。
不眠症の治療には、薬局で購入できる一般用医薬品や医師の処方が必要な医療用医薬品を利用できる。一般用医薬品の代表例は、抗ヒスタミン剤のドキシラミンやジフェンヒドラミンだ。これらは本来、風邪やアレルギー、鼻水などの症状治療用に開発されたが、強い眠気を引き起こすため不眠症治療にも使用されるようになった。ただし、ぼんやりした精神状態などの副作用に注意が必要で、1〜3日服用しても効果がない場合は使用を中断すべきだ。内科的疾患がある場合や他の薬を服用中の場合は、特に注意が必要である。
医療用医薬品では、ゾルピデムのような非ベンゾジアゼピン系睡眠薬や、ベンゾジアゼピン系のトリアゾラムが一般的に使用される。これらは脳内の睡眠誘導物質に作用して睡眠を促す。心理的依存の可能性があるため、医師の指示通りに定められた用量を決められた時間に服用することが重要だ。服用時間も医師と相談して決めるべきである。
健康的な睡眠習慣を身につけることも不眠症の改善に効果的だ。就寝時間と起床時間を規則正しくすることが重要で、日中40分間汗をかく程度の運動も睡眠の質を高める。昼寝はできるだけ避け、どうしても必要な場合は15分以内に抑えるべきだ。就寝後20分経っても眠れない場合は、いったん床から出ることが効果的だ。軽い読書やテレビ視聴でリラックスし、再び眠くなったら床に戻る。それでも眠れない場合は、この過程を眠りにつくまで繰り返すとよい。