マレーシア出身の8歳の少年が、極端な偏食の結果、ビタミンAが不足し視力を失ったという事例が報じられた。
22日、英紙「ザ・サン」によると、マレーシア・クアラルンプールに住むこの少年は、幼いころからチキンナゲット、ソーセージ、クッキー以外の食べ物をほとんど口にしなかったという。
少年は、小学2年生のときに突然視力を失い、急いで病院に運ばれた。検査の結果、深刻な「ビタミンA欠乏症」と診断された。ビタミンA不足が原因で、少年は視神経が損傷する「視神経症」にかかっていたと考えられている。この病気は視力の低下を引き起こし、もし治療せず放置すると、視神経の萎縮が進み、最終的には視力を取り戻すことができなくなる可能性がある。
この事例をメディアに提供したマレーシアの医師、エルナ・ナディア博士は、「親は子どもに健康的な食事を提供するべきだ」と述べ、「子どもの目を注意深く観察し、目の乾きや白目の灰色の斑点、涙が多く出るなどの異常がないか確認することが重要だ」とアドバイスしている。
偏食が原因で視力を失った子どもは、今回が初めてではない。2021年にはイギリスで自閉症を持つ子どもが、同じような理由で失明した事例があったその子どもは、サンドイッチ、フライドポテト、水以外の食べ物を口にしない摂食障害（精神的な問題により食事摂取に困難を感じる病状）を抱えており、最終的にビタミンA欠乏症と診断された。
昨年、アメリカで自閉症とADHDを抱えた一人の子どもが、ハンバーガー、フライドポテト、ランチドレッシング、グレーズドドーナツ、ジュースだけを食べ続けた結果、栄養不足により視神経症と診断されるという事例が報じられた。治療を受けた後、その子どもの栄養状態は正常に回復したが、視神経の萎縮はすでに進行しており、視力を回復することはできなかった。
このように、摂食障害の一種である「回避的・制限的食事摂取障害（ARFID、極度に制限された食物のみを摂取する障害）」を抱える子どもたちは、成長障害や栄養不足に悩んでいる。ARFIDを持つ子どもたちの調査によると、ビタミンAやミネラルの値が危険なほど低いことが明らかになった。
ARFIDは、認知行動療法によって治療が可能だ。この治療法では、患者が抱えている恐怖の原因を特定し、他のものに気を取らせることを目指す心理療法である。治療を繰り返すことで、患者は自分の行動が健康に及ぼす影響に対する不安感や、食べ物への恐怖を減らすことができる。必要に応じて、抗うつ薬の服用も行われる。ARFIDの症状は患者ごとに異なるため、完治までの期間も様々である。しかし、専門家によれば、食習慣を改善し、十分な栄養を摂取することによって、不安感もある程度軽減されるとされている。
ビタミンAは抗酸化作用を持ち、網膜のタンパク質であるロドプシンの生成に欠かせない。ロドプシンは光を感知し、暗い環境でも視力を保つ手助けをする。また、ビタミンAは眼の表面を保護し、目の水分を保つ役割も果たしている。したがって、目の健康を維持するためにはビタミンAを豊富に含む食物を摂取することが必要だ。卵黄、乳製品、ほうれん草、カボチャなどの緑黄色野菜がその例だ。
サプリメントやビタミンA注射で不足分を補うこともできるが、過剰摂取には注意が必要で、頭痛、吐き気、皮膚の乾燥、肝臓障害などの副作用を引き起こすことがある。ビタミンAの推奨摂取量は、男性900mcg（マイクログラム）、女性700mcgである。特に妊婦や授乳中の女性は十分に摂取することが推奨されている。妊婦の場合、770mcg、授乳中の女性は1300mcgが推奨されている。