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体に悪影響が少ないという認識から、加熱式タバコの愛用者が年々増加しているが、加熱式タバコを使用している人の「メタボリックシンドローム」の発症リスクは、非使用者と比べて最大3.20倍も高いことが明らかになった。メタボリックシンドロームとは、高血圧、高血糖、糖尿病などの代謝に関連する生活習慣病が、腹部肥満とともに発症する症候群で、早期の予防が非常に重要である。
3日、韓国地方税研究院および韓国税制財政研究院の「液体型電子タバコの税率調整案に関する研究」によると、電子タバコの歴史は20年以上前に遡る。2003年に中国で初めて開発された電子タバコは、ニコチン液を入れたカートリッジを加熱して蒸気を吸引する「液体型」だった。2000年代後半に韓国で初めて登場した電子タバコも、この液体型であった。その後、タバコを燃やさずに高温で蒸して得られるニコチン蒸気を吸引する「加熱式タバコ」が登場した。
韓国で加熱式タバコの使用者が急増したのは、2017年にフィリップモリスが「アイコス」を発売したことがきっかけだ。2017年の韓国タバコ市場における加熱式タバコの販売シェアはわずか2.2%だったが、それ以降毎年急増し、2023年には16.9%にまで上昇した。
このように、2023年には紙巻タバコの販売量が前年比2.8%減少(30億9,000万→30億箱)した一方で、加熱式タバコの販売量は12.6%増加(5億4,000万→6億1,000万箱)し、喫煙者の間で電子タバコへの関心が高まっていることがうかがえる。電子タバコ利用者は、健康に与える影響が少ない、あるいは禁煙に役立つと考えている場合が多い。
しかし最近、韓国の亜洲大学医療院と梨花女子大学ソウル病院、アメリカのコロラド大学の共同研究チームが、国際学術誌「タバコによる疾病(Tobacco induced diseases)」に発表した研究結果は、電子タバコ愛用者のこの認識が誤りであることを示している。
研究チームは、2019年に韓国医学研究所(KMI)で健康診断を受けた17万8,004人を追跡調査したところ、現在加熱式タバコを吸っている人のメタボリックシンドローム発症リスクは、加熱式タバコを全く吸わない人と比べ1.68倍高いことが分かった。また、現在紙巻きタバコを吸っていないが、加熱式タバコを3年以上使用している人の発症リスクは2.17倍に達した。
特に、過去に紙巻きタバコを吸ったことがなく、3年以上加熱式タバコだけを使用している人のリスクは、非使用者と比べ3.20倍にまで上昇した。喫煙頻度もリスクに関わる要因となった。加熱式タバコを1日16回以上吸っている人は、1日1~5回使用する人よりもメタボリックシンドロームのリスクが1.33倍高かった。
研究チームは「今回の結果は、加熱式タバコが紙巻きタバコよりもリスクが低いという前提で考える際には、慎重に対応する必要があることを示している」と指摘している。