耳垢の色から健康状態が判断できる。
耳垢は単なる異物ではなく、耳の健康を示す重要な指標となることが分かっている。外耳道から分泌される耳垢は、耳を保護し清潔に保つ役割を果たしている。最近、イギリスの聴覚管理センター「The Hearing Care Partnership」のアシシュ・シャ氏が、耳垢の色から耳の内部状態を把握できると解説した。
耳垢の色は黄色、薄茶色、濃茶色、赤色、緑色など様々な色がある。通常、黄色や薄茶色の耳垢は健康な状態を示すという。一方、濃茶色の耳垢は古くなったか硬化した可能性がある。これは耳垢の過剰蓄積、イヤホンの使用、過度な洗浄、外耳道の損傷などが原因として考えられる。
特に赤い耳垢は出血の可能性を示唆しており、綿棒の使用による傷が原因かもしれない。緑色や白色の耳垢は感染した可能性を示すため、すぐに耳鼻咽喉科の受診が推奨される。
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耳垢は外耳道の汗腺と耳道腺からの分泌物と剥離した表皮からできている。外部のほこりや細菌、カビなどの有害物質が耳内に侵入するのを防ぎ、適切な湿度を保つ機能もあるのだ。通常、耳垢は自然に排出されるため、特別な問題がなければ人為的に除去する必要はない。ただし、過剰に蓄積すると聴力低下や異音の原因となる。その場合は、綿棒で慎重に除去するか、専門医の診察を受けることが望ましいとされる。
耳の健康維持には適切なケアが不可欠だ。過度な耳掃除は外耳道感染のリスクを高める。特に綿棒や鋭利な道具で深く耳垢を掻き出すことは鼓膜損傷の恐れがあるため避けるべきだと専門家は警告する。自然な排出を促すには、温めた濡れたタオルで外耳を軽く拭くのが効果的だ。そして、ストレス管理や騒音からの露出を軽減することも耳の健康に寄与するという。
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耳の健康を守る上で食事も重要な要素となる。オメガ3が豊富な魚は聴力保護に効果的で、亜鉛を含むナッツ類は耳の健康維持に必要な栄養素を提供する。さらに、葉酸やビタミンが豊富な野菜の摂取も耳の健康増進に貢献するとされる。定期的な耳鼻咽喉科の検診で耳の状態をチェックするのも有効な習慣だ。
耳垢は単なる老廃物ではなく、耳の健康状態を示す重要な指標となる。適切な耳垢管理と健康的な生活習慣を通じて、良好な聴力を維持することが大切だと専門家は強調している。