
運動は毎日しなくても、週に1~2日集中的に行うだけで早期死亡リスクを低減するのに十分だという研究結果が発表され、注目を集めている。休日や週末にまとめて運動する人でも、非活動的な人と比べて心血管疾患やがんを含むあらゆる原因による早期死亡リスクが大幅に低いことが明らかになった。
該当の研究結果は、2日、アメリカの心臓協会誌(Journal of the American Heart Association)に掲載された。
研究を主導したのは、中国・広州南方医科大学の疫学者、李志豪(リ・ズーハオ)博士。李博士は、「健康維持のために毎日運動する必要はない。週に150分以上の中強度~高強度の身体活動を行えば、週全体に分散しても、1~2日にまとめて行っても、心血管疾患やがん、その他の原因による死亡リスクを大幅に低減できる」と説明する。
研究チームは、手首にフィットビット型の活動量計(加速度計)を装着し、1週間の生活データを記録した37~73歳の成人9万3,000人(平均年齢62歳)の情報を英国バイオバンクから抽出し分析した。そのデータを基に、参加者を週末に集中して運動するグループ(42%)、定期的に運動するグループ(24%)、ほとんど運動しないグループ(34%)の3つに分類した。
約8年間の追跡調査の結果、約4,000人が死亡し、そのうち17%は心血管疾患、45%はがんが原因だった。
分析の結果、週末運動派は早期死亡リスクが32%低下しており、心血管疾患による死亡リスクは24%、がんによる死亡リスクは13%低下していた。
一方、定期運動派も同様に健康効果が見られ、早期死亡リスクは26%、心血管疾患による死亡リスクは24%、がんによる死亡リスクは13%低下していた。
週末運動派と定期運動派の間で死亡リスクに大きな差は見られなかった。
昨年も類似の研究が行われたが、身体活動測定機器を用いて運動パターンを分析し、それが健康リスクとどう関連しているかを調査したのは今回が初めてだ。
研究によると、ジョギングやサイクリングといった本格的な運動だけでなく、家の掃除や庭の手入れ、週末農園などの日常的な身体活動も健康に良い影響を与えることが分かった。
「多くの人が平日に毎日運動するのは難しい。しかし、この研究は週末の運動だけでも十分な健康効果が得られることを示している」と、アメリカ心臓協会の幹部でありコロンビア大学医学部の教授であるキース・ディアス氏は指摘する。
ただし、ディアス博士は「1~2日で150分の運動をこなすのは身体への負担が大きい可能性がある」とも警告し、「一部の研究では、週末運動派は定期的に運動する人よりも筋骨格系のケガのリスクがやや高い」と注意を促している。