自分は絶対に太らないと自信を持っている人も、様々な要因で肥満体質になってしまうことがある。
周囲には時々大量に食べても太らず、スリムな体型を維持している人がいる。そういう人はみなに羨ましがられているが、ある時、スリムだった人が急激に太って以前の姿を見つけられないほどになることがある。どれだけ食べてもスリムだった体は見る影もなく、少し食べるだけですぐに体重が増えてしまう。
彼らが、痩せ体質から肥満体質に変わってしまったのは何が問題なのだろうか?
『How to Eat』、『WHY WE EAT(Too Much)』などの著書で知られるイギリスの肥満治療専門外科医であるアンドルー・ジェンキンソン医師によると、人にはそれぞれ決まった「セットポイント」というデフォルトの体重があり、もっとも持続されやすく、ダイエットをして体重を減らしたあとにも、体重を増やしたあとにも最終的にはその体重に自然と戻るようになっているという。
しかし、セットポイントは永遠に変わらないわけではない。生活習慣により、上がることも下がることもある。つまり、もともとスリムだった人が突然肥満になった場合、従来のセットポイントが不規則な生活習慣などにより高くなった可能性がある。
アンドルー医師は、セットポイントを高くする主な要因として、過度の砂糖摂取、オメガ3脂肪酸不足、不規則な睡眠などを挙げている。反対に、もともとこのセットポイントが高かった人でも、これらの要因に気をつかえば、太りにくい体質になることも可能である。
加齢も肥満体質に変わる原因となることがある。アメリカ保健福祉省の調査によると、29歳から39歳の間に女性は通常3㎏以上増加し、男性は7㎏以上増量することが確認されている。また、10年前の資料になるが、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学が2013年に調査したデータによると、人は通常、毎年0.5㎏~1㎏程度体重が増加するという。
加齢と増量との相関は成長ホルモンによるものだ。人は思春期に成長ホルモンがもっとも多く分泌され、これは年を取ると次第に減少する。この成長ホルモンは体内の脂肪分解を促進する能力を持っているが、このホルモンが減少すると、当然、脂肪分解能力も衰える。
また、年を取ると基礎代謝量と新陳代謝が下がり、同じ量を食べて同じように動いても太りやすくなる。従来の体重を維持するためには、これまでより食べる量を減らし、これまでよりたくさん動かなければならない。
スリムな人も「私は元々太りにくい体質だ」と油断せず、日常的に健康的な生活習慣を続けることが重要だ。