タンパク質は重要な栄養素であるだけに、事実とは異なる主張が多数存在している。
タンパク質は筋肉をつくり、回復を助けるアミノ酸を含んでおり、必ず摂取しなければならない3大栄養素の一つだ。
一般的に、健康を維持するために必要なタンパク質は、一日あたり体重1kgにつき0.8~0.9g程度である。筋肉の成長のためにはこれより多い1.2gから2g程度のタンパク質を摂取しなければならない。
ところが、健康や運動に関心がある人でなければ、炭水化物や脂肪ほどタンパク質を摂取する人はあまりいない。特に筋肉を維持することが大事な高齢者の場合も、タンパク質の摂取量は徐々に減少していくのが現状である。
このように、タンパク質の摂取量が少ない中で、広がっているタンパク質についての誤った知識は、タンパク質の摂取不足をさらに煽る。「タンパク質を摂りすぎると腎臓に負担がかかる」「運動をしない場合、タンパク質をたくさん摂取する必要はない」などといった主張だ。
よく知られているタンパク質に関連する話の中には、事実ではないものが多い。
今年4月に国際スポーツ栄養学会誌に発表された「タンパク質補給に関する一般的な質問と誤解」というテーマの論文には、タンパク質摂取にまつわる疑問に対する答えを説明している。
まず、過剰なタンパク質の摂取が、腎機能を悪化させるという内容について、この論文は、定期的な運動をしている腎臓が健康な人は、たんぱく質の一日摂取推奨量の4~5倍まで摂取しても副作用はない可能性があると述べている。
つまり、60kgの健康な身体は最大240gのタンパク質を摂取しても問題ないということだ。
ここで大事なのは、腎臓が健康な人であることだ。タンパク質の摂取が腎臓にダメージを与えるという論文でも、健康な腎臓を持っている人の場合、高タンパク食にも腎臓に負担がかからないと述べている。
しかし、腎臓に異常がある人であっても、疲労、食欲不振、集中力低下など、気づきにくい症状が出る可能性が高いため、定期的に検査を受けることが推奨される。
高タンパク質の摂取が骨の健康に有害であるという主張については、高タンパク食と骨の健康との間には何の相関関係もないと明言した。
「豆などの植物性タンパク質だけで体が十分なタンパク質を摂取できるか」という質問に対しては、植物性タンパク質でもタンパク質の必要量を満たすことができるが、ルシンなどアミノ酸を満たすためには、動物性タンパク質より20~40%多い量を摂取しなければならないと答えた。
また、チーズとピーナッツバターの場合、タンパク質供給源というよりも脂肪供給源に近いと付け加えた。
動物性タンパク質が癌を引き起こすという話に対しては、癌を引き起こす動物性タンパク質はすべて加工肉を意味し、白身の肉と魚は癌のリスクを上げず、むしろ胃癌のリスクを減らすことができると明かした。
最後に「運動をしていない場合もタンパク質を摂るべきか」という質問には、健康のために運動をしない人も1kgあたり1g~1.2gを摂取し、そのうち45~60%は動物性タンパク質で摂取することを推奨した。
ルシン?
ロイシンのことかと思ったら、文脈からするとリジンのことですかね