
日本で、「パーキンソン病の治療薬」が製品化される見通しとなった。
17日、読売新聞をはじめとするメディアは、日本の研究チームが人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した神経細胞をパーキンソン病患者の脳に移植し、安全性と症状の改善効果を確認したと報じた。
アルツハイマー病と同様、高齢者に多く見られるパーキンソン病は、神経細胞が減少することで手足の震えや身体の硬直といった症状が現れる進行性の神経疾患だ。
現在のところ、パーキンソン病を根本的に治療したり進行を止めたりする薬は存在しておらず、ドーパミンの分泌を促す薬剤によって一時的に症状を和らげる対症療法が主流となっている。
今回の研究では、京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授を中心とするチームが、2018年からパーキンソン病患者7名の脳に、健常者のiPS細胞から作製した神経細胞を1人あたり500万~1,000万個移植。その結果、安全性に問題がないことが確認された。
安全性の検証のみを目的とした1名を除き、残る6名に対しては「治療効果」も評価され、全員の脳内で移植した細胞によるドパミンの生成が確認された。特にそのうち4名では、運動機能の向上など、目に見える症状改善が報告された。
研究チームは「患者の症状改善が確認できたことは非常に大きな成果だ」と述べ、「今回の治療技術を製品化し、大手製薬会社の住友ファーマと提携して、1年以内に製造販売の承認申請を行う予定だ」としている。
この臨床試験の結果は、国際的な科学雑誌『ネイチャー』にも掲載された。