アウディの電気自動車「e-tron GT」
リフト上で突然燃え出す
バッテリーの製造元が判明
先月、韓国の仁川(インチョン)にあるマンションで発生した電気自動車火災事故の影響が長引いている。事故後、地下駐車場への電気自動車の出入りを制限する建物が増加している。火災発生率で比較すると内燃機関車よりも電気自動車の方が低い数値を示しているが、火災を鎮圧する難易度は電気自動車の方が高いためである。
車両所有者の不便さと不安が高まる中、先日事故を起こした車両とは異なるメーカーの電気自動車でも火災事例が報じられた。今回は、数千万円相当の高価な輸入電気自動車で原因不明の火災が発生したという。火災の原因はバッテリーによるものである可能性が高いが、同車種に搭載されたバッテリーの製造元と過去の事例にも注目が集まっている。
難航した車両火災の鎮圧過程
フォークリフトで辛うじて搬出した
米インディアナ州カーメル消防署によると、17日(現地時間)、この地域にあるアウディディーラーのサービスセンターで火災が発生した。火元はリフトの上にあったアウディの電気自動車「e-tron GT」と判明した。致命的な被害を招く恐れもあったが、幸い火災発生直後に警報が鳴り、スプリンクラーが作動して火災の拡大を防ぐことができた。
しかし、火災を消火する過程は非常に困難であったと伝えられている。バッテリーパック内で熱暴走現象が発生している中、車両は1.8メートルの高さに吊り上げられていたため、移動式消火水槽を使用することができなかった。さらに、室内火災であったため、バッテリーから出た有毒ガスがサービスセンター内部を完全に覆った。現地の消防士たちは苦労の末、初期消火を完了し、フォークリフトを使って車両を降ろし、サービスセンターの外に取り出すことができた。
既に複数回リコールを実施し
車両火災の可能性を警告していた
車両を建物の外に取り出す過程でも火が2回再燃し、完全消火までに大量の水と数時間を要した。幸いにも人的被害はなく、サービスセンター内にあった他の車両も火災の影響を受けなかった。火災車両は完全に燃焼しなかったものの、車体下部のバッテリーから火が始まったため、車両全体に損傷を受け、最終的に廃車されたと報じられている。
一方、アウディの「e-tron GT」は以前にもバッテリー火災の懸念から複数回リコールが実施されてきた。最新のリコールは昨年3月に行われ、2022~2024年型1,013台、2022~2023年型29台など、計1,042台が影響を受けた。米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は当時、同車両の高電圧バッテリーの短絡の可能性があり、これにより発熱および火災につながる可能性があると警告していた。
発火したバッテリーの製造元は韓国の業者
中国産バッテリーより火災が多い
「e-tron GT」には韓国のLGエネルギーソリューションのバッテリーが搭載されている。昨年8月、民主党のチョン・ヨンギ議員室が発表した過去6年間の電気自動車火災分析結果によると、バッテリーパックで発生した火災事例75件の中でLGエネルギーソリューションのバッテリーによるものが43件で1位となった。2位はSKオンの22件で、その他に中国産バッテリーが5件、サムスンSDIが2件となった。
アウディコリアは今月から「e-tron」全モデルを対象に高電圧バッテリーの特別無償安全点検を実施中である。該当するモデルの所有者は来年末まで高電圧バッテリーの点検を無償で受けることができる。火災のニュースを受け、ネットユーザーは「当然中国産バッテリーが搭載されていると思ったが意外だ」、「電気自動車は絶対に選ばない方が良い」、「1千万円を超える高価な電気自動車でも火災が発生するとは」、「せめてスプリンクラーがちゃんと作動していて良かった」などの反応を示している。