最新型フォード・ブロンコの
レトロ仕様改造業者が
フォードから提訴される
フォード・ブロンコをレトロ調にカスタマイズし、フォード社から訴えられた業者が物議を醸している。現行のブロンコは、クラシックなデザインを現代的に解釈した洗練されたスタイリングを特徴としている。一方で、往年のレトロなデザインを求める声も根強い。
クラシックカーの修復およびカスタマイズを手がける「ヴィンテージ・ブロンコ(Vintage Broncos)」は、こうしたニーズに応えるべく、最新型ブロンコのデザインを往年のスタイルに仕立て直すカスタマイズを展開してきた。最新の安全機能や利便性を維持しながら、クラシカルなデザインを楽しめる点が、一部の愛好家から支持を集めている。
フォード側「誤解を招く改造で
顧客の安全も脅かす」と主張
しかし、フォード社はヴィンテージ・ブロンコ社のこうしたサービスが商標権を侵害していると主張し、訴訟に踏み切った。詳細な訴訟内容は明らかになっていないものの、米ジョージア州北部地方裁判所に提訴され、フォード側は陪審裁判を求めている。ヴィンテージ・ブロンコ側は、最新モデルを単にクラシカルな外観に改造しているだけと反論する構えとみられ、フォード側の今後の主張が注目される。
フォードの広報担当者は「ヴィンテージ・ブロンコ社が無断で最新型ブロンコを改造し、特に『ヴィンテージ』の名を冠して転売することは、消費者の誤解を招く恐れがある。また、フォードが長年築いてきたブランド価値を利用して不当な利益を得ている」と指摘した。「顧客の安全を脅かし、フォードの投資と信用を損なうことを防ぐため、然るべき措置を講じる必要がある」と述べた。
社名を「ヴィンテージ・モダン」に変更
免責事項もサイトに掲載
実際、ヴィンテージ・ブロンコ社のウェブサイトでは「クラシカルな外観と、現代車両同等の走行性能、信頼性を両立」をうたい、6つのエアバッグやトラクションコントロール、バックカメラ、ABSブレーキ、アップルカープレイ、アンドロイドオート、エアコンなどの最新機能を備えていると説明している。
ただし、フォードからの提訴を受け、「ヴィンテージ・ブロンコ」から「ヴィンテージ・モダン」に社名を変更。サイト下部には新たな免責事項として「ヴィンテージ・モダンはフォード・モーター・カンパニーを含むいかなる自動車メーカーからも支援、承認、保証を受けていない」との文言が追加された。
SNSでは依然
旧社名を使用
さらに「フォードおよびブロンコの商標はフォード・モーター・カンパニーに帰属し、その他の商標も各所有者に帰属する」「これらの商標の使用は識別目的に限定される」「当社の改造車両をヴィンテージ・フォード・ブロンコ、フォード・ブロンコ、ヴィンテージ・モダン・ブロンコ、フォード・ヴィンテージ・モダン・ブロンコと呼称すべきではない」との注意書きも掲載された。
しかし、ウェブサイトやSNSのプロフィールではなお「ヴィンテージ・ブロンコ」の名称が使用されているとされ、論争の収束は見通せない状況だ。改造車のフロントには「ヴィンテージ」の文字が刻まれ、1960年代のフォード・ブロンコを彷彿とさせるデザインが施されているが、レプリカ然とした印象や粗削りな仕上がりを指摘する声も上がっている。