マツダ、本格的な電動化へ舵を切る
日本国内にバッテリー工場新設へ
独自開発の全固体電池にも意欲
マツダが電動化戦略の転換点を迎え、日本国内に電気自動車用バッテリーを生産する新施設を建設すると発表した。この施設は山口県岩国市に位置し、パナソニックエナジーが供給する円筒形バッテリーモジュールを使用して年間10GWhのバッテリーパックを生産する計画だ。
このバッテリーパックはどのモデルに使用されるのか。マツダによると、同社初のEV専用プラットフォームを基にしたモデルに搭載するという。マツダの毛籠勝弘社長は、2027年までにプラットフォーム開発を完了させる計画を明らかにし、本格的な電動化時代への意欲を示した。
最新EVプラットフォーム開発で
競争力強化へ
マツダが開発を予告したEV専用プラットフォームは、「先進的なデザイン」、「優れた利便性」、「長距離走行」を特徴とするという。これにより、既存の内燃機関モデルとは一線を画す性能と走行体験を消費者に提供することを目指している。
具体的な発売時期や技術的な詳細はまだ明らかにされていないが、このプラットフォームは今後のマツダの電気自動車戦略の要となる見通しだ。今回の発表は、マツダが電動化への転換において本格的な競争力を確保しようとする動きとして注目を集めている。
既に始動している電動化戦略
起点は日本ではなく中国市場
マツダはすでに電動化への第一歩を踏み出している。2019年に発売されたクロスオーバーEVのMX-30は、マツダ初の純電気自動車で、内燃機関モデル用に設計されたSkyActivプラットフォームをベースに開発された。ただし、このモデルは現在、北米市場では販売を終了している。
最近、中国市場では中型セダンEZ-6を投入した。このモデルは長安(Changan)のプラットフォームをベースとし、純電気自動車版とレンジエクステンダー版を展開している。同プラットフォームは、2025年に発売予定のマツダ・アラタEVコンセプトの量産モデルにも採用される見込みだ。これらのモデルには中国製バッテリーを採用する。
全固体電池の開発にも着手
将来を見据えた技術革新へ
当面はパナソニックの円筒形バッテリーを採用するマツダだが、将来に向けて独自のバッテリー技術開発にも力を入れている。現在、高密度リチウムイオン電池の自社開発を進めており、2030年までにプラグインハイブリッド(PHEV)とEVへの搭載を計画している。
さらに、マツダは全固体電池技術のための先端研究拠点の構築も進めている。これらの技術は、今後マツダが電動化市場でリーダーシップを確立するための重要な戦略的資産になると期待されている。