モルガン・スタンレー「最近の下落は良いエントリーポイント」…「最高の推奨株」を追加
ブロードコム12%、クアルコム8%、TSMC7%など一斉に上昇、半導体指数は7%アップ
大幅に急落していた人工知能(AI)リーダー企業エヌビディアの株価が、現地時間の先月31日に急反発し、二桁の上昇率を記録した。
同日ニューヨーク証券取引所でエヌビディアの株価は前日比12.81%急騰し、117.02ドル(約1万7550円)で取引を終えた。前日には7%以上下落し、約2ヶ月ぶりの最低水準である103ドル(約1万5400円)台まで落ち込んでいたが、1日で120ドル(約1万8000円)近くまで跳ね上がった。2兆5510億ドル(約383兆円)まで減少していた時価総額も3270億ドル(約50兆円)が増え、2兆8780億ドル(約430兆円)まで上昇し、3兆ドル(約450円)再突入を目指している。
この日の急反発はモルガン・スタンレーの報告書によるものと考えられている。モルガン・スタンレーのアナリスト、ジョセフ・ムーア氏は、同日公開された報告書でエヌビディアを顧客向けの「最高の推奨株」(Top Pick)リストに追加した。
ムーア氏は「最近の株価下落は、投資家にとって良いエントリーポイントを示している」と分析した。目標株価は144ドルを維持している。また、「市場は企業の大規模インフラに対する資本支出計画を否定的に見ているが、それにもかかわらずマルチモーダル生成AIの開発に継続して資源を投入しようとする明確な意欲がある」と評価した。
最近、グーグルやマイクロソフト(MS)、メタなどのビッグテック企業がAIに対する資本支出を増やしている中、市場では拡大する支出が利益に結びつくかどうかに対する懸念が出ていたが、これらの懸念は過度であるとの分析だ。
企業がAIインフラに対する支出を増やすと、エヌビディアが恩恵を受ける。エヌビディアは、世界のAIチップ市場の80%以上を占めている。
グーグルに続き、前日にはマイクロソフト(MS)がAIインフラ構築のための資本支出が当分の間増加するとの予測を公開し、今後もAIチップの需要が持続すると見込まれている。
24日、グーグルの親会社アルファベットの資本支出が増加したとの発表を受け、市場では立て続く支出増加に対する懸念が高まった。しかし、グーグルに続き、チャットGPTの開発会社であるオープンAIとAIブームを主導しているMSの資本支出も増加すると予想され、市場の懸念が和らいだとの分析がある。
MSの第2四半期(4〜6月)の金融リース(finance lease・リース会社が利用者のために希望する資産を購入し、それを利用者に貸し出す金融商品)を含む資本支出は、前年同期比77.6%増の190億ドル(約2兆8500億円)を記録した。
MSは「クラウドとAI関連の費用が全体の資本支出の大部分を占めている」とし、「これは今年(2024会計年度)よりも来年度にさらに増えると予想される」と見通した。
AIチップに対する需要が増えていることは、前日、米半導体企業AMDの業績でも確認された。AMDは、昨年第2四半期にAIチップの売上が初めて10億ドル(約1497億円)を突破したと発表した。これにより、チップの年間売上見通しを従来の40億ドル(約6000億円)から45億ドル(約6750億円)に上方修正した。同日、AMDの株価も4.36%上昇し、ブロードコムと世界最大のファウンドリー(半導体受託生産)企業である台湾TSMCの株価もそれぞれ11.96%と7.29%急騰した。
クアルコムとマイクロンテクノロジーの株価もそれぞれ8.39%と7.08%上昇し、前日下落傾向を見せていた半導体株が一斉に急騰した。これにより、半導体関連銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体指数も前日比3.88%下落から、同日は7.01%急騰した。