イランの改革派大統領マスード・ペジェシュキアン氏は、現地時間の7月30日、国際社会との経済関係を「正常化」すると宣言した。アメリカによる経済制裁を撤廃することが一次目標である。彼は、就任の挨拶として経済の正常化を提示した。
ファイナンシャル・タイムズ(FT)によると、ペジェシュキアン大統領は同日、議会で就任宣誓を行った後、「この不公平な制裁が撤廃されるまで休まない」と誓った。
ペジェシュキアン大統領は、アメリカによる経済制裁を打破し、「イランと世界との間で経済を正常化することを目指す」と明言した。
彼は7月のイラン大統領選挙で予想外の勝利を収めた人物である。強硬派ばかりの大統領選挙の構図の中で、政権側が体裁を整えるために彼を大統領候補に加えたのだが、予想に反し旋風を巻き起こし、最終的に大統領として選ばれた。
彼は大統領選挙の際にも、経済制裁撤廃に最善を尽くすと誓ったことがある。ペジェシュキアン大統領は、イラン経済は制裁下でも生存できるが、決して繁栄することはできないと断言した。
5月のヘリコプター墜落事故で亡くなった前任のエブラーヒーム・ライースィー大統領とは異なるアプローチである。
ライースィー前大統領はイラン経済の回復は制裁撤廃に依存していないと主張し、アメリカによる制裁下のイラン経済は深刻な圧力を受けてきた。このような立場の上で、制裁撤廃に向けて行われたライシ政権のアメリカとの交渉は停滞していた。
核計画を放棄しないと制裁を解除することはできないという立場のアメリカとの交渉は全く進まずだった。就任の挨拶で経済の正常化と制裁撤廃を掲げたペジェシュキアン政権の対応は、今までとは異なるものと見られる。
専門家たちは、イランがアメリカの制裁撤廃を条件に核交渉で譲歩案を提示すると予想している。
改革派のペジェシュキアン大統領は就任演説で周辺国との関係を強化し、西側との「緊張管理」に乗り出す準備ができているとも述べた。アメリカなどを具体的に挙げることはなかったが、アメリカとの緊張を緩和するために努力することを明言したものと見られる。
彼は「西側諸国が(イランが直面している)現実を理解し、相互尊重と平等な扱いを示すことを求める」と述べ、「脅威、圧力、二重基準には屈しない」と付け加えた。