日本銀行の「金利引き上げを控える」という発言により、円キャリートレードの清算に対する懸念が和らいだ。ただし、円の価値を正常に戻すことが日本政府の最終的な目標であるため、完全な悪材料の解消と見做すことはできないとの見方もある。
7日、韓国の金融監督院によると、昨年6月末時点で日系資金の韓国上場株式保有額は16兆2910億ウォン(約1兆7557億円)と集計された。前年同期の14兆6650億ウォン(約1兆5805億円)と比べて11.08%増加した規模である。
韓国の上場株式に投資した日系資金は2022年末には12兆3910億ウォン(約1兆3354億円)にとどまったが、昨年末には15兆ウォン(約1兆6166億円)を超えるなど増加傾向を示している。
この資金に注目する理由は「円キャリートレード」の清算による株式市場の変動性と関わりがあるためだ。円キャリー清算の懸念は、日本銀行が先月31日に政策金利を従来の0~0.1%から0.25%に引き上げ、米連邦準備制度が9月の金利引き下げを示唆したことから引き起こされた。
米国と日本の長期金利の差が縮小するとの予測により、円は強含みに転じた。この場合、これまで低金利で円を借りて金利の高い国の資産に投資していた投資家にとって、「円キャリートレード」の魅力は薄れることになる。
結局、投資資産を清算するために資金を引き上げる円キャリーの清算が発生し、この過程が株式市場の暴落を引き起こしたと株式業界は見ている。
ただし、同日、内田眞一日銀副総裁が、市場が不安定な状況では金利引き上げを行わないと明言したことにより、これに伴う下落傾向は和らいだ様子である。
内田副総裁は「金融資本市場が不安定な状況では金利を引き上げることはない」と述べ、「当面は現状の水準で金融緩和を維持する必要がある」と明らかにした。金利引き上げの可能性が後退する中、日経平均株価は前日比1.2%上昇して取引を終えた。
日本が韓国同様株式市場の振興策を推進中であるため、円キャリー清算による株式市場の急変を無視するのは難しかったという分析が出ている。
KB証券のハ・インファン研究員は「日本の株式市場も5日に10%以上急落したが、この程度の急落によって、日銀は彼らの金融政策の決定が株式市場にどう影響を与えるのか、考えさせられたはずだ」とし、「日本はバリューアッププログラムを推進することで株式市場への資金移動を誘導し、これを通じて家計資産の増加計画を目指しているため、政治的な圧力も生じざるを得ない」と指摘した。
同日、日本の発言により円キャリー清算の懸念が完全に収束したと見ることができるだろうか。株式業界の見解は分かれている。
iM証券のパク・サンヒョン研究員は「内田副総裁の発言により、円キャリー清算に対する懸念は当面沈静化するだろう」とし、「円高を引き起こす可能性のある残りの要因として米国の景気後退懸念などがあり、指標発表など現実化するまでしばらくは落ち着いた状況になるだろう」と述べた。
一方、日本政府の最終的な目標は円の価値を正常に戻すことにあるため、警戒を緩めることは難しいという見解も出ている。
キョボ証券のシン・ユンジョン研究員は「日本政府が意図した以上に円の価値が過度に評価され、市場衝撃が発生したため、これを緩和するために今回のような発言が出たと見られる」と述べ、「日本の今年の最終的な目標は円の価値を正常に戻すことにあるため、下半期まで円高のモメンタムは有効だと考えている」と伝えた。