ザポリージャ原子力発電所の火災に関し、ウクライナとロシアの立場は真っ向から対立
欧州最大の発電能力を保有し、現在、ロシア軍が占領中のウクライナのザポリージャ原子力発電所で火災が発生したが、ウクライナは現時点で放射線量の値は基準内だと発表した。
12日(現地時間)、ウクライナ南部にあるザポリージャ原子力発電所の敷地内で火災が発生したと、複数の海外メディアが報じたが、ウクライナとロシアの立場は真っ向から対立している。
原発の対岸に位置するニコポリのウクライナ当局者は「ロシア軍が冷却塔で大量のタイヤに火を放ったという公式情報を得ている」と語った。
そして、「これは挑発か、もしくは周辺の住民たちをパニック状態に陥れようとする試みだ」と批判した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ザポリージャ原子力発電所の敷地内から大量の黒煙が上がる様子をおさめた動画とともに「発電所を占領するロシア軍が発電所に火をつけたが、現在の放射線量は基準値内である」とSNSに投稿した。
さらに、「ロシアは原子力発電所を利用してウクライナはもちろん、世界を脅迫している」とし、「我々は世界の反応を待っている。我々はIAEA(国際原子力機関)の反応を待っている」と強調した。
一方、ロシア政府が任命した親ロシア派のザポリージャ州のエフゲニー・バリツキ知事は「ウクライナ軍が原発近くのエネルホダルの街を砲撃した結果、火災が発生した」と主張したが、具体的な証拠は示さなかった。
両者ともに、ザポリージャ原発周辺の放射線量に問題はなく、原発の安全に対する影響はないという見解は同じだ。
ザポリージャ原発はロシアによるウクライナ侵攻後、6つの原子炉すべてが停止しているが、敷地内や周辺ではたびたび攻撃があり、安全に必要な外部からの電力の供給が途絶えるなど原発の安全性が懸念される事態が続いている。
ザポリージャ原発はドニプエル川のカホフカ貯水池の岸に位置している。
現在サポリージャはロシアに占領されており、ロシア側は対岸のウクライナ軍がドローンで原発を攻撃したと述べているが、ウクライナ側は当然否定し、ロシアによる犯行だと双方が非難し合っている。
また、ウクライナはロシアが侵攻を開始して以来、ザポリージャ原発に重火器を配備するなど原発施設を軍事化したと批判してきた。
IAEAはザポリージャ地域に査察官を派遣しており、両者の軍事行動によって発電所で重大な原子力事故が発生する可能性があるとし、再三にわたり自制を促している。