韓国政府は、仁川(インチョン)青羅(チョンラ)のマンションで発生した火災事故や、相次ぐ電気自動車(EV)火災に関する緊急対策会議を開催した。
韓国政府は12日、環境次官の主導のもと、国土交通部、産業通商資源部、消防庁などの関係省庁が参加する電気自動車火災関連の緊急会議を行い、▲電気自動車バッテリー製造元公表 ▲充電器の地上化 ▲電気自動車の過充電防止などの事項について議論した。
青羅マンションの火災当時、火元となったメルセデス・ベンツEQEは、当初中国製電池(CATLバッテリー)が搭載されていたことが判明したが、調査の結果、中国のファラシスエナジーのバッテリーであったことが明らかになった。
グローバル市場シェア率1位のCATLとは異なり、ファラシスのバッテリーは市場シェア率も少なく、中国内でも火災の可能性を理由にリコールが行われたことが知られ、多くの人を当惑させた。
信頼性の高いバッテリーを搭載した電気自動車を購入できるようにするという趣旨から、韓国政府は自動車メーカーが、電気自動車に搭載するバッテリー製造メーカーを公開する方策を議論している。現代自動車は、10日からすべての電気自動車のバッテリー製造メーカーをホームページで公開している。
しかし、一部の輸入車メーカーは本社の方針上、部品メーカーの公開が不可能だと難色を示している。これに対し、韓国政府は13日、韓国内完成車メーカーや輸入業者とともに電気自動車の安全点検会議を開き、これに対する意見を募る計画だ。
EV充電器を地下ではなく地上へのみ設置し、万が一電気自動車火災が発生した場合、被害規模を最小限に抑える方策も検討されている。大容量バッテリーが搭載された電気自動車は特性上、熱暴走の現象により火災が発生すると消火作業が非常に難しい。電気自動車による火災が発生した場合、車両全体を水槽に沈めて消火するのが一般的である。
地下ではこのような消火作業が難しく、周囲の車両や施設に広範囲に被害を及ぼす危険性がある。実際に青羅マンションで発生した火を消火するまでに、8時間以上の時間を要した。マンション入居者は、水道と電気供給施設が利用不可能となり、1週間以上の避難生活を強いられた。
しかし、電気自動車の充電施設を地上化するための法的根拠がなく、新築マンションのほとんどが地上駐車場を設けていないため、これもまた課題となっている。
韓国政府は地下駐車場内の充電施設に対する不安が大きいだけに、インセンティブなどを通じて地上に電気自動車の充電施設を移行する方策について議論している。
最後に議論される課題は、電気自動車火災の主な原因とされる過充電防止に関する方策だ。急速充電器には電力線通信(PLC)モデムが搭載されており、電気自動車バッテリーの充電状態情報を車両から受信し、自動的に過充電が防止されるが、現状では、緩速充電器にはPLCモデムが設置されていない。問題は、共同スペースに設置された電気自動車の充電器の98%以上が緩速充電器であるという事実だ。
これに関連して今年、環境部はPLCモデムを搭載した「火災予防型緩速充電器」に40万ウォン(約4万3048万円)の追加支援を行い、ソウル市では共同スペースの地下駐車場に、充電率90%以下に制限した電気自動車のみが出入りできるよう、準則の改正を勧告するなどの動きが見られている。
また、地下駐車場のスプリンクラー設置拡大や高感度型にするなど、火災消火方案に対しても今回の会議を通じて議論される。政府は今日議論された内容を基に「電気自動車火災」関連の政府対策を具体化し、来月初めに発表する計画だ。