カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームが量子コンピュータに適用可能な新しい超伝導体を開発した。研究チームは、新しい超伝導体の安定性が高いため、量子コンピュータへの適用可能性も高いと予想している。
18日、業界によると、UCLAカリフォルニア・ナノシステム研究所の研究チームは、国際的学術雑誌「ネイチャー(Nature)」に「キラル分子-TaS2ハイブリッド超格子における非従来型超伝導(Unconventional superconductivity in chiral molecule–TaS2 hybrid superlattices)」という論文を掲載したという。この論文は、6月26日に公開された。
論文では、キラリティを持つ超伝導体について扱われている。キラリティは、ギリシャ語の「cheir(手)」に由来する概念で、ある現象とその鏡像が同一にはならないような性質である。例えば、鏡に物体を映したとき、映った物体と元の物体が完全に重ならない性質を指す。キラリティは化学や生物学などにおける重要な概念であり、多くの薬剤分子や人間の体を構成する生体分子もキラリティを持つ。
キラル超伝導体は、超伝導体研究者から注目されているテーマであり、今年初めに日本の東京都立大学の研究チームがキラル結晶構造を持つ新しい超伝導体を開発したとされている。
キラル超伝導体が関心を集めている理由は、小さな変化にも変りやすいキュービットを安定的に維持できる可能性が確認されたからである。UCLAのキラル超伝導体は、従来よりも強い磁場でも超伝導状態を維持した。
研究チームは、キラル超伝導体を作るために、二硫化タンタルから構成された層と他の化合物層を重ねる方法を使用し、その物質がナノサイズでも超伝導状態を維持できるのかについても確認した。
UCLAの研究チームは「今回の研究で報告された新しいハイブリッド物質のように、入手しやすい素材で超伝導体を設計すれば、量子コンピューティングの潜在能力を実現し、電子デバイスの改善を促進するのに役立つだろう」と述べた。
量子コンピュータは、物理量の最小単位である量子を利用して迅速に大量の情報を処理する「夢のコンピュータ」である。人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)需要の増加に伴い、データ処理量が増加するにつれて注目を集めている。量子コンピュータの核心であるキュービットは超伝導体で作ることができる。超伝導体は臨界温度以下で電気抵抗が0になる物質で、極低温状態で現れる。