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2024年12月23日月曜日
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中国における「貧困」の認識変化とその影響とは?「能力不足」から「不平等な機会」への変化がもたらす社会的緊張

■ グローバル経済 – 中国人の貧富認識の変化

「富の最も大きな要因」アンケート調査

2023年 「関係」が1位に挙げられる

過去10年間 「能力・才能」が1位

貧困の原因、社会システムを指摘

「能力不足 → 不平等な機会等」の変化

「5年前よりも貧しい」と答える人が急増

70%は月収2000元未満

景気後退に伴い犯罪や抗議活動が増加

「私はなぜ貧しいのか。お金持ちはなぜお金持ちになれるのか。」 学者たちは、一つの国における所得水準の差がどれほど大きいかより、社会構成員がその差を「どのように」認識するかが重要だと口を揃える。

クーデターや騒乱などの政治的結果をもたらすのは、不平等の存在そのものではなく、不平等に対する認識だという。これは中国においても例外ではない。

近年、中国人の不平等に対する認識が変化している。自らの貧しさ、他者の富を個人の問題ではなくシステムのせいにしているためだ。これは、中国共産党の一党制にとってかなり危険な傾向と読み取れる。

◇「お金持ちは 『関係』 によって構成され、私は 『不均等な機会』のせいで貧しい」

米ハーバード大学社会学教授マーティン・K・ホワイトと中国専門家スコット・ロジェル、米スタンフォード大学・中国経済センター共同センター長が、共同で実施したアンケート調査の結果によると、多くの中国人が富の最も大きな要因として 「関係(関係・人脈)」と述べ、貧困の最大の要因として 「不均等な機会」 を挙げるようになった。調査は、過去20年間に4回(2004年、2009年、2014年、2023年)にわたり、中国人4万人を対象に実施された。

「お金持ちは、なぜお金持ちになれると思うか」について尋ねたところ、2004年、2009年、2014年の調査ではすべて 「能力と才能」 が1位を占めていた。 次いで、努力に続き、関係、高い教育水準、恵まれた機会などがその後に続いた。

しかし、2023年の調査では 「能力と才能」 が4位に下がり、その代わりに 「関係」 が1位に挙げられた。2位には「裕福な家庭環境」、3位は 「恵まれた機会」 がランクインした。 過去に1位だった「努力」は5位となり、関係や裕福な家庭環境、恵まれた機会はすべて個人の努力では得られないものであり、一般の人々が抱く挫折感や敗北感に反映していると言える。

貧困原因について、社会システムを指摘する声もあり「なぜ貧しいのか」尋ねたところ、2004年、2009年、2014年の調査では「能力不足」 が1位だったが、その後、 「努力不足、レベルの低い教育、不平等な機会、家族背景」などが続いた。

しかし、2023年の調査ではこの順位に大きな変化がみられ、「不平等な機会」 が1位を占めた。次いで「レベルの低い教育、不公平な経済システム、家庭背景、努力不足、能力不足」 などが続いた。

貧困原因として1位に挙げられていた 「能力不足」 は6位に下がり、「不平等な機会」と「不公正な経済システム」が1位と3位に浮上したことから、貧困の原因を自身の能力不足や努力不足ではなく、社会システムに求める傾向がみられる。

「私がお金持ちになるか、貧困者になるかは自分自身の責任である」という質問に同意した回答者の割合は、2004年49%から2023年27%に減少した。逆に、これに同意しない回答者の割合は25%(2004年)から48%(2023年)に増加した。「我が国(中国)では努力は常に報われる」という質問に同意した回答者の割合は62%から28%に減少した。

◇3分の1が 「5年前よりもさらに貧しい」…騒乱の可能性に「注目」

中国人のこのような認識の変化は、ますます悪化する経済状況と拡大する貧富の格差に起因すると解釈される。

不動産経済の危機を含む中国経済が、景気後退に入ったとの海外専門家の分析が出る中、中国人自身も景気後退を実感している。昨年の調査では、年収5万元(約102万3206円)未満の回答者の32%が「5年前よりも貧しくなった」と答え、5万(約102万3206円)~10万元(約204万6413円)を稼ぐ回答者の24%、10万元(約204万6413円)以上を稼ぐ回答者の19%も同様の回答をした。

所得水準に関係なく、多くの人々が経済的困難を訴えている。経済好況だった2009年には、5万元(約102万3206円)~10万元(約204万6413円)を稼ぐ人のうち、5年前よりも貧しくなったと答えた割合はわずか1%であり、10万元(約204万6413円)以上を稼ぐ人々の場合、5年前よりも貧しくなったと答えた人の割合は2004年5%、2009年0%、2014年1%にとどまっていた。

深刻な貧富の格差も、中国人の認識の変化に影響を与えたと考えられる。北京師範大学が2021年に発表した資料によると、月収2000元(約4万928円)未満の人は、中国全体の人口の70%に近い9億6400万人に達している。

中国の経済的な不平等を示すジニ係数は、世界最高水準の0.468(2020年基準)に達している。ホワイト教授とロジェルセンター長は「経済が急速に成長しているときは、不平等を喜んで受け入れるが、経済が揺らぐと不平等に対して不満が高まる」と述べた。

景気後退の中、経済的な不平等が拡大し自殺や無差別暴行といった犯罪が増加するなど社会的緊張が高まっている。

中国政府も、経済的な要因による騒乱を最も懸念している。香港に拠点を置く中国人権団体の中国労働通信(China Labour Bulletin)によると、昨年、中国国内での労働者の抗議活動は約1800件に達した。これは、2022年の2倍以上に達する。

米国際人権団体フリーダムハウスは、今年の第1四半期だけで、中国国内でのオンライン抗議を含む、さまざまな抗議活動や騒乱が合計655件発生したと報告した。

また、中国を離れて他国を目指す中国人が増えている。アメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)の資料によると、昨年、米南部国境で拘束された中国人不法移民は3万7000人以上となり、前年の10倍に増加した。

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