米大統領選挙が本格化する中、韓国にも影響が出始めている。盟友であり世界最大の市場である米国の政策次第で、韓国の防衛や安全保障はもちろん、経済、産業への影響は避けられない見込みである。
米共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ前大統領は19日(現地時間)、ロイターとのインタビューでインフレ抑制法(IRA)に基づく税額控除の特典を全面的に廃止する可能性があると明らかにした。
トランプ前大統領はIRAに基づく電気自動車(EV)の税額控除について、「税額控除や税のインセンティブは一般的に良いことではない」と述べ、ホワイトハウスに戻った際には規則を覆すか、議会に関連する税額控除の全面的な廃止を要求する可能性があると述べた。
IRAはジョー・バイデン政権が中国を牽制し、自国の製造業の競争力を強化するために推進した政策である。米国で製造されたEVを購入すると、最大7500ドル(約110万円)安く購入することができる。韓国の企業は当初の懸念とは裏腹に、自動車業界の現地EV販売(リース)の競争力が健全であり、バッテリー企業を中心に高度な先端製造生産税額控除(AMPC)が行われ、恩恵を受けている。
トランプ前大統領の言葉が現実化すれば、韓国を代表する自動車ブランドの現代自動車はもちろん、SKやLGなどの二次電池企業も打撃を避けられない。
トランプ前大統領は大統領在任中も気候危機対策の一環としてのEV普及のための税金の特典に、懐疑的な立場を示してきた。依然として石油やガスなど化石エネルギー源の掘削を増やすことを公約にしている点も同様である。
同日から党大会を開始し、カマラ・ハリス副大統領を大統領候補に選出する予定の米民主党も相次いで公約を発表している。
ハリス副大統領キャンプのジェームス・シンガー報道官は、大統領選で勝利した場合、法人税率を現在の21%から28%に引き上げると発表した。これはハリス副大統領が16日に中間層の票を狙ったもので、庶民の減税、新規住宅購入者への支援、住宅供給の拡大、大企業の食料品価格引き上げ規制などの、経済公約に伴う税収不足分に対する公約である。韓国の企業も現地投資を拡大している中で出された公約のため、徹底した備えが必要である。
トランプ前大統領はこれに対し法人税率を15%にさらに引き下げる公約を掲げた。ただし、トランプ前大統領は税収不足分を、関税を引き上げて補填する考えを示している。
対米輸出が大きい韓国の状況では、これもまたリスクがかなり大きい。韓国は今年上半期に対米輸出が前年より約17%増加し、史上最大を記録した。半導体の輸出も50%を超えて増加し、輸入は減少して貿易収支は6年ぶりの最大を示した。
一方、民主党は政府の核心政策方向を明示した党綱領もこの日公開した。韓国を「価値ある同盟国」と表現し、「バイデン大統領は我々の同盟国、特に韓国の側に立ってきたし、今後もそうである」と明言した。共和党は先月発表した綱領で韓国に対する言及なしに「同盟国が共同防衛への投資義務を確実に履行するようにする」とし、防衛費の追加負担を明記した。
一方、両党が同じ方向性を持つ公約もある。それは対中国牽制である。これもまた中国との経済協力を禁忌とすることができない韓国にとっては悩みの種である。