米国ジョー・バイデン政権がインフレ抑制法(IRA)を施行してから2年が経過し、米国内のクリーンエネルギー関連の製造業投資が890億ドル(約13兆円)に達したことが明らかになった。
IRAに基づく製造業投資は、都市化が相対的に進んでいない共和党支持の米中部および南部地域を中心に行われていることが注目を集めている。
20日(現地時間)CNBCによると、バイデン政権が昨年2022年8月にIRAを施行して以来、今年上半期までに実際に行われた産業および消費者投資の規模は、総額4930億ドル(約72兆円)に上ると集計された。これはIRA施行直前の2年間に行われた投資規模に比べて71%の増加である。
この分析は米民間研究所ロディウムグループとマサチューセッツ工科大学(MIT)エネルギー・環境政策研究センター(CEEPR)が発表した「クリーン投資モニターIRA施行2年の影響評価」報告書に基づくものである。
報告書によると、特にクリーンエネルギーおよび電気自動車(EV)関連の製造業投資は、IRA施行後の2年間で890億ドル(約13兆円)規模に達した。これはIRA発表前の2年間の投資規模である220億ドル(約3兆2060億円)に比べて304.55%も急増したことを示している。
ロディウムグループのパートナー、トレバー・ハウザー氏は「IRAは製造業分野において革新的な影響を与えている」と述べた。続けて「現在見られる新しい製造業の活動規模は、最近の米国史上前例のないレベルであり、主に新規のクリーンエネルギー製造施設に起因している」と説明した。
IRA施行後の50州別のクリーン投資規模を調べると、カリフォルニア州が940億ドル(約13兆6986億円)で最も多かった。次いでテキサスが690億ドル(約10兆553億円)、フロリダが290億ドル(約4兆2261億円)、ジョージア220億ドル(約3兆2060円)、アリゾナ180億ドル(約2兆6231億円)と続いた。
また、米各州の国内総生産(GDP)に対するクリーン投資の比率を調べると、ネバダ(2.4%)、ワイオミング(2.2%)、アリゾナ(1.8%)、テネシー(1.6%)、モンタナ(1.5%)、ニューメキシコ(1.4%)、ケンタッキー(1.4%)等が高いことがわかった。
ハウザー氏は「人工知能(AI)やテクノロジー、金融関連の投資が大都市地域に集中しているのに対し、クリーンエネルギー投資は非都市地域に集中しており、これらの地域に最も重要な新規投資を提供している」と説明した。
一方、ドナルド・トランプ前大統領が大統領選挙に勝利した場合、IRA政策が後退する可能性があるとの懸念も一部で提起されている。トランプ前大統領は19日(現地時間)にペンシルベニア州での演説後、IRAに基づき提供される最大7500ドル(約109万円)のEV税額控除が「ばかげたこと(ridiculous)」だと述べた。
CNBCは「IRA関連投資の未来は大統領選の結果によって変わる可能性がある」とし、「共和党の勝利の可能性はIRAが弱体化したり、最悪の場合に廃止されるとの懸念を持つ、一部の投資者の信頼を揺るがしている」と指摘した。