米株式市場は22日(現地時間)、反発から一転して再度下落した。
ジェローム・パウエル米連邦準備制度(FRB)議長のジャクソンホール会議での演説を前に、投資家たちは再び様子見に入った。
特に、最近急激な回復ラリーを見せたM7ビッグテックを含む技術株の下落が目立った。
エヌビディアは3.7%、テスラは5.7%急落した。
様子見
パウエル議長が23日の午前にワイオミング州ジャクソンホール会議での演説を控える中、投資家たちは、9月の利下げに関するヒントが得られなかったり、予想より強硬な姿勢が示されたりする可能性があることを懸念し、極度に様子見の姿勢をとっている。
技術株を中心に指数は大きく下落した。
ナスダックは前日比299.63ポイント(1.67%)急落し、1万7619.35で取引を終えた。1万8000線再突破を目前にしてつまずいた。
技術株の比重が高まったスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)500も下落幅は小さくなかった。S&P500は50.21ポイント(0.89%)下落し、5570.64で取引を終えた。
大型優良株30銘柄で構成されるダウ・ジョーンズ工業平均は、アップル、マイクロソフト(MS)などの不振で下落したが、下落幅は大きくなかった。ダウは177.71ポイント(0.43%)下落し、4万712.78で取引を終えた。
「ウォール街の恐怖指数」は8%近く急騰した。変動性指数(VIX)はこの日シカゴ・オプション取引所(CBOE)で1.28ポイント(7.87%)急騰し、17.55となった。
M7、揃って下落
M7ビッグテック銘柄は揃って下落した。
特にエヌビディアとテスラの下落幅が大きかった。
エヌビディアは来る28日、驚きの四半期実績を発表することがほぼ既成事実とされているが、これまで急激に上昇してきた株価が負担となった。8日安値以降21日までに30%超も株価が暴騰したため、アーニング・サプライズはすでに株価に反映されている可能性があるという投資家の懸念が売り圧力を呼んだ。
エヌビディアは4.76ドル(3.70%/約694円)急落し、123.74ドル(約1万8000円)となった。
テスラは連邦機関である全米交通安全委員会(NTSB)が19日、カリフォルニア州80号州間高速道路(I 80)で発生した電気トラック「セミ」の衝突後火災事件について調査しているというニュースと、最高経営責任者の一人が再び辞任したというニュースが重なり急落した。
イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がドナルド・トランプ前大統領が再選に成功した場合、入閣するかもしれないという予想も重なった。
電気自動車のバッテリー火災リスクと経営リスクが再び浮上し、テスラは12.61ドル(5.65%/約1836円)急落し、210.66ドル(約3万740円)となった。
アップルは1.87ドル(0.83%/約273円)下落し224.53ドル(約3万2700円)、マイクロソフト(MS)は8.59ドル(2.03%/約1253円)下落し415.55ドル(約6万614円)で取引を終えた。
アルファベットは2.05ドル(1.24%/約299円)下落し163.80ドル(約2万3900円)、アマゾンは3.98ドル(2.21%/約580円)急落し176.13ドル(約2万5700円)で取引を終えた。
メタプラットフォームズも3.23ドル(0.60%/約471円)下落し531.93ドル(約7万7600円)で取引を終えた。
パンデミック時期の「コロナ株」復活
コロナ禍にブームを迎え、日常生活に復帰する中で苦戦を強いられたいわゆる「コロナ株」の2大株、ペロトンとズームビデオは揃って急騰した。
それぞれ驚きの四半期実績を発表し、実績予想を上方修正したことが株価急騰の引き金となった。ターンアラウンド(事業再生)期待の中で株価が大幅に上昇した。
インターネットと接続されたコネクテッド室内運動機器メーカーのペロトン・インタラクティブは1.19ドル(35.42%/約174円)急騰し4.55ドル(約664円)となった。
ビデオ会議プラットフォーム会社のズーム・ビデオ・コミュニケーションズは7.81ドル(12.97%/約1140円)急騰し68.04ドル(約9930円)で取引を終えた。
国際原油価格、5日ぶりに上昇
国際原油価格は取引日基準で5日ぶりに上昇に転じた。
パウエル議長が23日のジャクソンホール会議で米金利引き下げを予告すれば、石油需要が増加するとの期待感が作用した。
国際原油の基準であるブレント原油は前日比1バレルあたり1.17ドル(1.54%/約170円)上昇し、77.22ドル(約1万1270円)となった。
米国原油の基準であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)も1バレルあたり1.08ドル(1.50%/約158円)上昇し73.01ドル(約1万655円)で取引を終えた。