米株式市場の目と耳が、28日（現地時間）のエヌビディア四半期業績発表と、30日の米商務省による7月個人消費支出（PCE）物価指数発表に集中している。
エヌビディアの四半期業績は、M7ビッグテック株の動向を左右する重要な材料となると見込まれており、PCE物価指数は連邦準備制度（FRB）による来月の利下げ幅を決定するものと予想される。
今週が8月最後の週であることはポジティブである。
米国株年鑑によると、8月最後の週の株価動向は過去数十年間良好であったのだ。
エヌビディア
M7大型テクノロジー株をはじめ、人工知能（AI）テーマ、さらにはテクノロジー株と米株式市場の動向そのものを左右する最大の変数は、28日の取引終了後に公開されるエヌビディアの四半期業績発表である。
エヌビディアが公開する2025会計年度第2四半期の業績は、高く期待されている。売上286億5000万ドル（約4兆1230億円）、1株あたり0.64ドル（約92円）の純利益が予想されている。
エヌビディアの株価は8月に入ってから乱高下してきた。
次世代AI半導体ブラックウェルの出荷遅延のニュースで5日に6%を超える暴落があり、取引中には10%を超える下落で90.59ドル（約1万3000円）まで落ち込むこともあった。
しかし、その後反発に成功し、23日には4.6%急騰し129.37ドル（約1万8600円）で取引を終えた。5日に記録した90.59ドル（約1万3000円）に比べて42.7%の急騰である。
エヌビディアの上昇傾向を左右する鍵は、サプライズ業績の強さである。
5月22日の第1四半期業績発表時のように、市場の予想を圧倒する驚異的な業績が公開されれば、エヌビディアだけでなくM7、さらには米株式市場全体が急騰する可能性がある。
しかし、市場の見通しを上回ったとしても、投資家の高まった期待に応えられなければ、株価は下落に転じる可能性もある。最近の急激な上昇を考慮すると、下降の流れが急になる可能性がある。
見通しは分かれている。
ネブリアー＆アソシエイツの創業者であるルイス・ネブリアー氏は、過去1週間でアナリストのエヌビディア業績予想が10%上方修正されたとし、このような急激な上方修正は通常「アーニングサプライズ」の前触れであると指摘した。
PCE物価指数
投資家が注目しているもう一つの材料は、米商務省が30日の取引開始前に発表する7月PCE物価指数である。
エコノミストたちはわずかな上昇を予想している。
ファクトセットによれば、現在エコノミストたちは7月PCE物価指数が前月比、また前年同月比で6月に比べてそれぞれ0.1%ポイント高くなると見積もっている。
6月に記録した前月比0.1%、前年同月比2.5%の上昇率よりそれぞれ0.1%ポイント高い前月比0.2%、前年同月比2.6%を見込んでいる。
予想通りであれば、来月17〜18日の連邦公開市場委員会（FOMC）会議でFRBが0.25%ポイントの利下げを決定する可能性が高い。
しかし、これよりも低いインフレーション（物価上昇）が確認されれば、0.5%ポイントの利下げ、いわゆる「ビッグステップ」の期待が高まる可能性がある。これは市場に好材料として作用する可能性がある。
8月最後の週
8月最後の週が持つ季節的な特性も市場に好材料である。
ビスポーク・インベストメントグループの分析によれば、1953年以降昨年までの70年間、スタンダード＆プアーズ（S&P）500指数は8月最後の週に0.5%前後の上昇率を示している。中央値を基準にしていて、上昇と下降があったが、その中央値は0.5%程度であったということである。
期間を最近に狭めると、上昇期待感はさらに高まる。
過去10年間だけを見ても上昇率の中央値は約1.1%で、70年間の上昇率を圧倒している。
PCE物価指数の他、同日に発表されるPCE統計、26日に発表される7月耐久財受注、27日のコンファレンスボードによる8月消費者信頼指数、30日のミシガン大学8月消費者態度指数確定値、28日の米国第2四半期国内総生産（GDP）修正値も米国経済の軟着陸期待感に影響を与え、株式市場を左右するものと考えられている。