中国で、人工授精で生まれた自らの娘と、全く同じ顔をした子供を偶然見つけた女性が、その子供の保護者にDNA鑑定を要求し、論争を引き起こした。
25日、中国のポータルサイト「百度(バイドゥ)」とSNS「Weibo(ウェイボ)」などでは、上海市(シャンハイ市)に住んでいるAさんの話が公開された。
Aさんは13日、友人から「もしかして娘が行方不明なのか」というメッセージと共に一枚の写真を受け取った。その写真は上海のある地下鉄駅で、迷子になった子供を探している親のために、あるネットユーザーがSNSに投稿したもので、その子供の容姿はAさんの娘と非常に似ていた。
Aさんは2020年に上海のある病院で、人工授精により娘を出産したが、その際病院が着床失敗に備えて冷凍保存しておいた余分な胚が、誤ってまたは故意に流出したのではないかと疑った。
Aさんは写真の子供の保護者に連絡を試みたが、連絡が取れなかったため、SNSに娘を人工授精で出産したという話と共に、二人の子供の写真を公開し、DNA鑑定による実子確認を行うよう求めた。
これに対し、ネットユーザーも「二人があまりにも似ている」、「警察に通報して」などの反応を示した。結局、Aさんは警察に通報したが、「証拠がないため、できることはない」との回答しか得られなかった。
この話がSNS上で広がると、迷子の保護者は激しい非難と圧力を受けた。すると、彼らはAさんに連絡し、自分たちは自然妊娠で娘を出産したため、実子確認に応じなければならない理由がないと拒否し、写真や動画の削除を要求した。
しかし、Aさんは疑念を抱き続けた。「娘をずっと見守ってきた家族や友人も区別が難しいほど似ているため、どのような状況なのか確認したい」とし、「単に二人が似ているだけなら、友達として付き合うこともできる。悪意はない」と語った。
結局、迷子の保護者は、娘の出産に関する医療記録をすべて警察に提出した。それに対しAさんは20日に、写真と動画をすべて削除し、「強い母性を持っていたあまり、意図せず彼らの心に傷を与えてしまった」と謝罪した。
この事件に対し、ネットユーザーは激しい論争を繰り広げた。「中国の14億人の中で似ている人は山ほどいるのに、あまりにも軽率だった」、「子供の頃は似て見えても成長するにつれて顔が変わる」、「子供の情報をインターネットに公開し、実子確認を強要するのは違法だ」などの指摘が相次いだ。