知り合いの女性の顔写真に裸の写真を合成した「ディープフェイク性犯罪」がモバイルSNS「テレグラム」のグループチャットで大量に拡散され、恐怖感が広がっている。
被害者だけでなく、加害者の中には大学生だけでなく中・高校生などの未成年者が含まれていることが確認され、衝撃を与えている。関連する処罰が急務であるが、セキュリティが強固なSNSの特性上、捜査が容易ではない状況だ。
■「知人侮辱部屋」数百件検索
26日現在、X(旧ツイッター)などのSNSでは「XX大学知人侮辱部屋」、「XX高校侮辱部屋」など、地域や学校名を掲げて知人の顔にわいせつな画像を合成した写真を投稿し、セクハラを行うテレグラムのグループチャットが容易に見つけられる。
「ディープフェイク被害地域・学校名簿」も共有された。全国各地域または大学、中学校・高校の名前と「知人」、「侮辱」などを組み合わせて検索すると、テレグラムの部屋(グループチャット)が見つかり、知人侮辱部屋が存在することが報告され、該当する地域や学校名がまとめられている。
グループチャットには「知人を侮辱したい方、個人テレグラムメッセージを送ってください。醜い裸の写真がある」とか「世界一の合成大会を始める」などのメッセージが交わされたとされている。
加害者の中には未成年の青少年も存在すると伝えられている。ソウル警察庁によると、先月末の時点で、今年1~7月にソウルでディープフェイク映像に関連して逮捕された青少年容疑者は10名である。
現在、ソウル警察のサイバー捜査隊が捜査を行っている。刑事未成年者(触法少年=韓国で刑事上の責任を負えない14歳未満の少年少女)である満14歳未満の容疑者は立件対象から外されている。
■捜査しても処罰は難しい
ディープフェイク性犯罪の被害がますます深刻化する中、関連捜査も進められている。仁荷(インハ)大学の在学生がターゲットになったディープフェイク事件を捜査する仁川(インチョン)警察庁のサイバー犯罪捜査隊は、先月、被害映像を再配布したテレグラム参加者1名を逮捕し、検察に拘束送致し、参加者2名も特定され現在捜査中である。
問題は、外国にサーバーを置くテレグラムの特性上、捜査が難しいという点である。警察庁関係者は「さまざまな手法を活用して加害者を特定するために最善を尽くしている」としつつも、「テレグラムからの協力が得られず、捜査が円滑に進まない部分がある」と述べた。また、新たな犯罪であるため、明確な処罰条項がないという点も論争を呼んでいる。
現行の性暴力犯罪の処罰に関する法律によると、ディープフェイク映像を制作する場合、5年以下の懲役または5000万ウォン(約542万円)以下の罰金に処される。営利目的の場合は7年以下の懲役、さらにこれを利用して脅迫する場合には、1年以上の有期懲役に処される。
法律事務所のグァク・ジュンホ代表弁護士は「ディープフェイク犯罪は新たに発生した犯罪であるため、これだけを処罰する条項はない。一般的な性搾取物に関する条項のみ存在している状況だ」と説明した。
■見つかる前に「削除」
そのため、オンラインコミュニティには捜査を逃れるためにオンラインに投稿された写真を削除する方法が共有されている。
ある大学の匿名コミュニティには「テレグラムの部屋で自分の身元が特定されるようなものを残していなければ心配しなくていい。警察は死んでも見つけられない」といった内容の投稿が上がっている。
「顔が出ていない写真でも周囲の建物の風景などで住所を確認できるため注意が必要」、「ログインした位置とデバイスを確認してハッキングの有無を調べる」といった方法も共有されている。
不安な気持ちからSNSアカウントを削除した高校生のキムさん(17)は「私たちの学校も名簿にあった」とし、「もしかしたらと思って顔が映っている写真は全て削除し、アカウントを非公開にした」と話した。
警察は教育を通じた予防を徹底する方針である。キム・ボンシクソウル警察庁長は定例記者会見で「深刻な犯罪行為として処罰される可能性があり、このような犯罪歴は今後の社会人としての生活に大きな障害となる可能性があることを市教育庁と協議し、学生に教育する計画である」と述べた。