ディープフェイク合成による性犯罪が社会的な波紋を引き起こしている中、韓国のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)ではディープフェイク犯罪の加害者として指摘された人々の個人情報が拡散するなど、私的制裁を行う現象が起こっている。一方的に犯人と名指しされた一部の人々は、自分たちはディープフェイクとは無関係だと訴えている。
29日現在、テレグラムにはディープフェイク合成物を制作・配布した加害男性たちの名前や顔写真、連絡先などが共有されるグループチャットが登場したと伝えられている。300人以上の参加者がいるこのチャットルームでは、「OO中学O年O組 OOO、ディープフェイクの犯人です」といった投稿が上がった。指摘された男子学生の家族の連絡先まで共有されている。このチャットでは、また別のインスタグラムのアカウントIDが50以上並べられたリストも掲載された。
このような状況を受け、チャットの参加者たちは電話やメッセージ、ダイレクトメッセージ(DM)などでディープフェイクの加害者と見られる彼らに罵声を浴びさせようという提案も上がってきた。
しかし、加害者リストには実際ディープフェイク犯罪とは無関係な人々も多数含まれていると見られる。 ネットユーザーのA氏は「ツイッターやテレグラムが何なのかも全く知らない。どの経路でIDが流出して加害者として名指しされたのか分からない」と憤りを表した。
また別の ネットユーザー B氏は「X(旧ツイッター)」の投稿で、インスタグラムで受け取ったさまざまな非難のメッセージを公開し、「今、ディープフェイク加害者の個人情報として上がっているアカウントの一つが私のアカウントで、長い間使っていないアカウントに不特定多数から罵声を浴びるのは本当に辛い」と訴えた。
一方、韓国政府と政治界はディープフェイク合成による性犯罪に関し、国務調整室に総合コントロールタワーを設置することを決定した。また、ディープフェイクのような虚偽映像物の配布行為に対する刑事処罰を大幅に強化することに意見が一致した。
国民の力党キム・サンフン政策委員長は29日午前、国会で行われた「ディープフェイク性犯罪関連省庁緊急現況報告」の終了後、取材陣に対し「ディープフェイクに関して、全体的に各省庁がそれぞれ対応しているという印象を受ける」とし、「国務調整室が『ディープフェイク性犯罪対応統合コントロールタワー』の役割を担うべきだ」と述べた。
これに先立ちハン・ドンフン党代表は同日、国会で行われた「ディープフェイク性犯罪関連省庁緊急現況報告」で「被害者が受けたであろう傷を考えると、この問題は私たちが集中して解決しなければならない問題だ」と強調した。