パリ検察庁サイバー犯罪捜査隊が「大物」ドゥロフを捕まえ、その実力を証明
テレグラムの創業者であり最高経営者(CEO)のパベル・ドゥロフ(39歳)が、オンラインでの違法行為を共謀した容疑でフランスで起訴された。しかし、今回の捜査を担当するのは検察官5名という小規模な組織であることが伝えられている。彼らは重大犯罪に捜査力を集中させる戦略により、世界的なプラットフォーム企業の代表という「大物」を捕まえることに成功した。
29日(現地時間)ロイター通信によると、ドゥロフを対象とした捜査はパリ検察庁サイバー犯罪捜査隊で始まった。捜査隊は今年初めにテレグラムが多数の犯罪に悪用されていることを認識したが、関連捜査への協力要請にテレグラムが応じなかったため、ドゥロフを捜査対象としたとされている。
この捜査隊を率いるジョアンナ・ブルース(38歳)は、今年1月にフランスの日刊紙「リベラシオン」とのインタビューで、テレグラムなどに関する調査を進めていると述べ、プラットフォーム犯罪を防ぐことが「私の戦いの一つ」であると語った。
捜査隊はフランス全土を管轄しているが、組織規模は比較的小さい。2022年のフランス議会報告書によれば、捜査隊には5名の検察官しかおらず、55〜60名のサイバー犯罪担当検察官を擁するスイスの10分の1にも満たない規模である。
規模は小さいものの、この捜査隊の成果は無視できない。重大犯罪に捜査力を集中させることで「大物」を狙い撃ちしてきた。捜査隊は2020年に暗号化メッセージアプリ「スカイECC」と「インクロチャット」を対象に大規模な捜査を行い、これらのアプリが犯罪組織の麻薬取引や武器密売などに使われていたことを明らかにした。
捜査隊はオランダやベルギーの警察と連携し、これらのアプリのサーバーをハッキングするなどして6500人以上を逮捕した。
ドゥロフの起訴によって注目を集めるこの捜査隊だが、ドゥロフの有罪判決を導くためには大きな試練が待っている。「インクロチャット」関連事件を担当する弁護士ロビン・ビンサイド氏は、ドゥロフがアプリ上で行われる犯罪を認識し、これを容認していたことが証明される必要があるとし、検察側の主張には「多くの疑問点がある」と指摘した。また、テレグラムが司法当局の要請に応じなかったからといって「自動的に犯罪行為の共謀者になるわけではない」と述べた。
一方、フランス内務省のサイバー関連アドバイザーであるパトリック・ペロ氏は、オンラインプラットフォームに対しては何でも許されるわけではないことを捜査隊が伝えているとし、テレグラムのようなプラットフォームが増加する中で規制は必須であると強調した。
ドゥロフは24日にフランスで逮捕され、28日に性搾取物の配布や麻薬密売などのオンライン違法行為を共謀した容疑で予備起訴された。予備起訴とは、犯罪容疑があると信じるに足る相当の理由があるが、追加調査が必要と判断される場合に下されるものであり、予備起訴された被疑者は、容疑をより具体的に特定するための調査の後、本起訴の可否を判断される。