人工知能(AI)向け半導体大手のエヌビディアは、3日(現地時間)に株価が約10%急落した。エヌビディアの株価は同日、特別な理由もなく急落したが、急激な株価の上昇と次世代AI半導体「ブラックウェル」の出荷遅延見込みが投資家の売りを引き起こしたと考えられている。また、米国の景気後退に対する懸念が続いており、米株式市場全体が苦戦していることも影響したと見られる。
同日、エヌビディアは先週末に比べて11.37ドル(約1650円、9.53%)急落し、108.00ドル(約1万5600円)で取引を終えた。取引中には一時的に3.16ドル(約458円、2.65%)下落し、116.21ドル(約1万6800円)まで回復したが、最終的には下落幅が拡大し、結局10%近い急落で取引を終えた。この一日だけで失われた時価総額は2789億ドル(約40兆4000億円)に達する。
コンパニーマーケットキャップドットコムによれば、失われた時価総額2789億ドルは、米二大石油メジャーの一つであるシェブロンの時価総額2625億ドル(約38兆270億円)を上回り、全世界の時価総額ランキング33位のネットフリックス(2898億ドル、約42兆円)に匹敵する規模である。時価総額のランキングで見ると、同日に失われたエヌビディアの時価総額はネットフリックスに次いで世界34位の水準だ。34位のネスレの時価総額は2765億ドル(約40兆550億円)で、失われたエヌビディアの時価総額2789億ドルを下回る。
エヌビディアは今年に入ってから150%以上の急騰を記録しており、これが急落の背景となっている。個別の悪材料はなかったものの、株式市場の循環買いの流れの中で急激に上昇したエヌビディアの魅力が薄れ、投資家たちが大規模に売りに出たとの分析がなされている。しかし、専門家たちの見通しは楽観的だ。
バンクオブアメリカ(BofA)は先月末にエヌビディアの目標株価を150ドル(約2万1700円)から165ドル(約2万4000円)に引き上げ、ウォール街のアナリストたちは買いを推奨している。I/Oファンドのテクノロジー株担当シニアアナリスト、ベス・キンディグ氏は先月29日、Yahoo Financeとのインタビューで、エヌビディアの時価総額が今の3倍を超える10兆ドル(約1450兆5500億円)に達するだろうと楽観的に述べた。専門家たちは、特に最近のブラックウェルの出荷遅延については、問題にならないと判断している。現在のホッパー半導体がその空白を埋め、ブラックウェルが出荷されるとエヌビディアの売上は再び飛躍すると期待されている。
一方、テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は前日、自身のAIスタートアップxAIに関するSNS投稿で、エヌビディアのH100半導体10万個で構成された「コロッサス」AIトレーニングインフラが成功裏に立ち上がり、近くH200ブラックウェル半導体を搭載した「世界で最も強力なAIトレーニングシステム」がxAIによって公開されると明らかにした。