イタリアは2023年に過去最高の観光客数を記録し、「オーバーツーリズム」問題を解決するために観光税の引き上げを進めている。
2023年にイタリアを訪れた観光客は1億3400万人、宿泊日数は4億5100万日で、2019年と比較してそれぞれ2.3%と3.3%増加した。特に、観光客数と宿泊日数は前年と比較してそれぞれ13.4%と9.5%急増した。
イタリア統計局は昨年、外国人観光客数が国内観光客数を上まったと発表した。最も多くの観光客が訪れた地域はヴェネツィア、フィレンツェ、ミラノ、ローマなどで、ローマとミラノでは観光客数が大幅に増加した。
こうした観光客の急増を受け、ベネチアなど一部の地域では「オーバーツーリズム」を防ぐための政策が実施されている。ベネチアでは祝日や週末に日帰り観光客に対して5ユーロ(約786円)の入場料を課している。
ヴェネツィアでは「リベンジ観光」によって観光客数が収容限度を超え、住民は高い家賃や生活物価、騒音などに悩まされている。この影響で、多くの住民が移住し、人口が1961年の13万人超から、現在は5万人未満にまで減少している。
イタリア政府は「オーバーツーリズム」を解消するために、観光税の引き上げを進めている。観光部長官ダニエラ・サンタンチェ氏は、観光業界と観光税の引き上げについて議論する予定であると発表した。彼女はSNSを通じて「観光税の引き上げによってサービスを改善し、観光客に責任感を持たせるための方策を議論している」と述べた。
イタリアの1200の地方自治体では現在、1人当たり1〜5ユーロ(約157~786円)の観光税を課しているが、観光部はこの上限を見直し、1泊1室あたり5ユーロ(約786円)から最大25ユーロ(約3930円)まで引き上げる方策を検討している。
しかし、観光業界は観光税の引き上げによる影響を懸念している。中小型ホテル連合会「フェデラルベルギ」は声明で「成長を妨げるのではなく、支援することが目指すべき方向だ」と指摘した。
大手ホテルチェーン「コンフィンドゥストリア・アルベルギ」のバーバラ・カシロ会長は、観光税の引き上げが観光客を他のヨーロッパの旅行先に流出させる可能性があると懸念している。
ホテル業界の関係者も「観光税の引き上げが旅行者に躊躇させ、損失をもたらす恐れがある」と指摘している。