ロイター通信は3日（現地時間）、気候変動による夏の気温上昇が韓国のキムチ文化に影響を与えていると報じた。
キムチの主要な材料である白菜は、寒冷な気候でよく育ち、夏でも気温が摂氏25度以下に保たれる山岳地域で主に栽培されてきた。しかし、最近の気候変動により、これらの栽培環境が急速に悪化している。科学者や農家は、キムチ用の白菜の品質と収穫量が徐々に減少していると警告している。
農村振興庁の研究によると、現在の気候変動が続く場合、今後25年内に高冷地での白菜栽培面積が急激に減少し、2090年には栽培自体が不可能になる可能性がある。実際、昨年の高冷地における白菜の栽培面積は20年前の半分以下にまで減少しており、この傾向は今後も続くと予測されている。
気候変動による気温上昇だけでなく、予測困難な豪雨や害虫の増加も白菜栽培に大きな影響を及ぼしている。特に、白収穫直前に発生するカビの感染は、農家にとって大きな悩みの種となっている。
キム・シガプ（71）氏はロイター通信に対し、「韓国でこれ以上白菜を栽培できなくなるという報告を受けた時は、衝撃的で悲しかった。キムチは韓国人の食卓に欠かせない存在だが、もしそんなことが起きたら、私たちはどうすればいいのかわからない」と語った。
韓国政府は現在、気候調整が可能な大型貯蔵施設を利用して、白菜の価格急騰と品不足を防ぐための対策を進めている。また、科学者たちは暖かい気候でも成長する新しい品種の開発に取り組んでいるが、これらの品種の栽培にはコストが増加する可能性があり、従来のキムチとは異なる味になる懸念もある。
韓国のキムチ産業は、安価な中国産キムチの輸入増加によってすでに大きな課題に直面している。昨年7月末までのキムチ輸入額は前年同期比6.9%増の9850万ドル（約140億円）に達し、そのほとんどが中国産である。これは同期間における歴代最高の輸入額となっている。
気候変動と中国産キムチの低価格攻勢が韓国のキムチ文化に影響を与える中、白菜栽培の不確実性が韓国社会に深刻な懸念をもたらしている。キムチの味や品質を保ちながら、気候変動に対応できる対策の整備が急務だという声が高まっている。