ロシアと北朝鮮の首都であるモスクワと平壌を往復する直航便の運航開始の可能性が浮上し、両国の観光や経済協力関係がより深い関係になるのではと見られている。
12日、アメリカ政府系放送局「自由アジア放送」は、ロシアの国営通信社「タス通信」の報道を引用し、ロシア経済発展省のコンドラチェフ多国間経済協力局長が「北朝鮮行きの旅行商品の販売が決定し、ロシア国民の関心度によってはモスクワと平壌を結ぶ直航便の運航についても議論する」と話したと報じた。
コンドラチェフ局長は「年初からロシア経済発展省は北朝鮮側と観光面などで生産的な関係を築いてきた」とし、「11月にはロシアの観光業者が北朝鮮を訪問し、北朝鮮の主要なリゾート地を視察する予定がある」と説明した。
現在、両国間の直航便はウラジオストクと平壌間のみ週2回に限定されている状況だ。
北朝鮮は新型コロナウィルス感染症の防疫措置を解除後、2月からロシアの観光客の受け入れを開始し、現在まで北朝鮮を訪れたロシアの観光客は600名ほどだという。
ロシア極東にある沿海州の観光局長はロシアの国営通信社「タス通信」に対し「北朝鮮が観光事業を再開した2月から短い期間で約600名の観光客が北朝鮮を訪れた」とし、「観光客の75%が(ウラジオストクなどの沿海州ではなく)サンクトペテルブルクなど他の地域からの観光客だった」と述べた。
来年には北朝鮮に観光するロシア人が1万人に達するのではないかという予想も出ている。
しかし、北朝鮮は過度に統制された閉鎖的な政治体制であるため、北朝鮮を訪問しようとするロシアの観光客は大幅には増えないだろうとの見通しが韓国内では出ている。
ロシア出身の北朝鮮政治・外交史の専門家で韓国の国民大学で教鞭をとるアンドレイ・ランコフ教授は「北朝鮮の厳格な統制などへの不満から北朝鮮への旅行客は増えないだろう」と「自由アジア放送」に語ったという。
一方、EUは5月、安全基準未達を理由に北朝鮮の高麗航空(コリョ航空)の旅客機の域内運航を禁止する措置を維持することを決定した。
しかし、高麗航空のロシア製旅客機TU-204型2機は運航制限の対象外となった。
高麗航空は2006年にEUの全面運航禁止航空会社リストに掲載されたが、2010年3月にロシアからTU-204型2機を導入し、厳しい制限の下ではあるが、EU上空を飛行できる航空会社となった。
このような状況下で、北朝鮮の高麗航空旅客機に対する安全性を問題視する声も上がっている。
モスクワと平壌間の距離はウラジオストクと平壌間の距離の9倍にもなるため、長距離運航に対する安全性の確保が重要な課題となると見られる。