米株式市場は24日(現地時間)、中国人民銀行(PBOC)が実施した0.5%ポイントの利下げが追い風となり、株価が続伸し史上最高値を更新した。
世界第2位の経済大国である中国が本格的な景気刺激策に踏み切るとの期待感が市場全体の上昇を後押しした。
米コンファレンスボードが発表した9月の消費者信頼感指数は基準値の100を下回り、景気減速の兆しが見られたものの、投資家たちは中国の利下げによる好材料に注目した。
人工知能(AI)半導体大手のエヌビディアは約4%急騰し、約1ヶ月ぶりに120ドル(約1万7197円)台を回復した。
史上最高
大型優良株30銘柄で構成されるダウ・ジョーンズ工業平均株価と、市場全体の動向を広く反映するスタンダード&プアーズ(S&P)500は、史上最高の上昇を維持した。
ダウは前日比83.57ポイント(0.20%)上昇した42,208.22で、S&P500は14.36ポイント(0.25%)上昇した5,732.93で終了した。
ダウはこれにより19日以降の取引日ベースで4日連続、S&P500は23日以降2日連続で史上最高記録を更新した。
ナスダックも100.25ポイント(0.56%)跳ね上がった18,074.52で終了し、19日以降3取引日ぶりに18,000ラインを取り戻した。
ただし、ナスダックの史上最高値は7月10日に記録した18,647.45であり、記録更新にはまだ遠い。
中国発の好材料
利下げよって照明された中国の景気刺激への意志は、関連株に好材料となった。
中国での売上比率が高いテスラ、アップル、ナイキなどが上昇傾向を示した。
米国に続き中国の利下げにより自動車のローン金利が低下し、電気自動車の需要拡大が期待されるテスラは前日比4.27ドル(約612円、1.71%)上昇し、254.27ドル(約3万6438円)で終了した。
アップルも0.90ドル(約129円、0.40%)上昇した227.37ドル(約3万2584円)、ナイキは1.26ドル(約181円、1.46%)跳ね上がった87.46ドル(約1万2528円)に上昇した。
中国の景気回復に伴い銅価格の上昇が期待され、銅採掘業者のフリーポート・マクモランは約8%近く急騰し、3.58ドル(約513円、7.93%)跳ね上がり48.72ドル(約6979円)となった。
一方、最大の受益者はやはり中国企業であった。
米株式市場で取引されている中国企業の米預託証券(ADR)も急騰した。
京東(JD.com)は4.14ドル(約593円、13.91%)急騰し33.90ドル(約4856円)、Temu(テム)の親会社Pinduoduo(拼多多)は11.50ドル(約1647円、11.24%)急騰し113.80ドル(約1万6302円)に急上昇した。
アリババは7.10ドル(約1017円、7.88%)急騰し97.19ドル(約1万3922円)で終了した。
電気自動車メーカーのNIO(ニオ)は0.62ドル(約89円、11.65%)急騰し5.94ドル(約851円)、リ・オートも2.52ドル(約361円、11.35%)急騰し24.72ドル(約3541円)に跳ね上がった。
AI関連株
AIブームに伴い膨大な電力需要を補うための電力関連株も同日大幅に上昇した。
産業用ポンプとバルブを製造するフローサーブはバンク・オブ・アメリカ(BofA)が買い推奨を再確認したことで7.3%急騰した。
BofAはフローサーブがほぼ全ての産業に自社製品を供給しており、原子力発電も例外ではないと指摘し、原子力関連の売上比率はフローサーブ全体の3~4%に過ぎないものの、今後原子力需要が急増するにつれ売上比率が大幅に増加する可能性があると判断した。また、原子力向け製品は収益性が高いという点も肯定的に評価した。
BofAはフローサーブを隠れたAI原子力の恩恵株と称した。
フローサーブは同日、3.54ドル(約507円、7.28%)急騰し52.14ドル(約7470円)に跳ね上がった。
原子力株は20日、マイクロソフト(MS)がコンステレーション・エナジーからAIデータセンター用の電力供給受ける契約を結んだことで再び注目を浴びている。コンステレーション・エナジー社は1970年代の放射能漏れ事故で閉鎖された原子力発電所1基を含むスリーマイル島原子力発電所2基の再稼働を決めた。
発電用タービンを製造するゼネラル・エレクトリック(GE)べルノバも1.6%上昇した。
グッゲンハイムがGEべルノバを分析対象に含め、初の推奨意見として買いを出し、目標株価を300ドル(約4万2977円)と設定したことで株価が上昇した。
AIの電力需要の恩恵株の一つと分類されるGEべルノバは3.95ドル(約566円、1.57%)上昇し255.48ドル(約3万6599円)で取引を終えた。
エヌビディア、1ヶ月で120ドルを回復
エヌビディアは先月28日終値125.61ドル(約1万7997円)を記録した後、この日初めて120ドル(約1万7197円)の株価を回復した。
エヌビディアは4.61ドル(約661円、3.97%)急騰し120.87ドル(約1万7318円)に上昇した。
好材料が重なった結果である。
ジェンセン・フアンCEOが7億1300万ドル(約1021億円)相当の株式売却を完了したことが確認された上、中国の利下げが株価上昇に貢献した。
エヌビディアはジョー・バイデン政権の輸出規制により先端半導体を中国に輸出することは不可能だが、性能を低減させた半導体を別途開発し中国市場に輸出している。依然として輸出規模における中国の比率は無視できない。
原油価格、3日ぶりに反発
原油価格は世界最大の石油輸入国である中国の景気刺激策とイスラエルによるレバノンへの空爆の継続的な影響で、3日ぶりに反発した。
原油価格の基準となるブレント原油は前日比1.27ドル(約182円、1.72%)上昇し、バレル当たり75.17ドル(約1万769円)で終了した。
米原油価格の基準である西テキサス中質原油(WTI)も1.19ドル(約171円、1.69%)跳ね上がり、バレル当たり71.56ドル(約1万251円)に急上昇した。