米大統領選挙を約40日後に控え、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領と共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が経済政策の構想を具体化し始めている。ハリス副大統領は経済政策の公約において「中流層」に焦点を絞り、トランプ前大統領は「関税」を前面に押し出した。
■ハリス候補「中流層の1億人に対する減税政策」
ハリス副大統領は25日(現地時間)、接戦州であるペンシルベニア州ピッツバーグの「経済クラブ」にて行われた経済政策演説で、「強力な中流層の形成を私の大統領職を定義づける決定的な目標かつ政権獲得の理由とする」と述べ、大統領に当選した場合、中流層向けの減税など大規模な恩恵を提供する公約を発表した。
具体的には、若い夫婦が子供を産むと初年度に6,000ドル(約86万円)の税額控除を提供し、乳幼児および高齢者の介護費用を低減させると述べた。これにより、ハリス副大統領は1億人以上の中流層が税制優遇の恩恵を享受できると説明した。
さらに、中流層の住宅安定化を目的とした公約として、300万戸の住宅供給を目指し、不動産開発業者および建設業者との協力を推進、初めて住宅を購入する者には頭金として2万5,000ドル(約360万円)を支援すると発表した。
企業関連の税制にも中流層を狙った公約の基本方針が反映されている。ハリス副大統領は「労働組合への加入が許可される質の高い雇用を増やした企業には税額控除を提供し、スタートアップに対する税額控除も現在の5,000ドル(約72万円)から5万ドル(約720万円)に10倍引き上げる」と述べた。同日の演説で、「我々は中流層をアメリカの繁栄のエンジンとする特別な機会を得た」と強調した。
■トランプ候補「低い関税で製造業の国内回帰を後押し」
一方、トランプ前大統領は関税の拡大と法人税の引き下げを通じた製造業の国内回帰を主要経済政策として打ち出した。
彼は前日の24日、接戦州ジョージア州サバナで行われた税制およびアメリカ製造業に関する演説で「トランプに投票すれば、中国からペンシルベニアへ、韓国からノースカロライナへ、ドイツからジョージアへ製造業の大規模なエクソダス(大量移転)を目撃することになる」と述べた。
特に、連邦政府の土地に低い税金と規制だけが存在する「特別区域」を設け、国内産業と雇用を活性化させ、それに伴う税収も拡充すると説明した。
また、「地球上のすべての企業および製造業者に対して、最も低い税金、最も安いエネルギーコスト、最も少ない規制負担を提供し、アメリカ市場への自由なアクセスを約束する」と述べた。「ただし、これはアメリカで商品を製造した場合にのみ該当する」と明らかにした。さらに、法人税を現在の21%から15%に引き下げるとし、「これは私の製造業ルネサンス計画の核心だ」と強調した。
トランプ前大統領は、海外企業のアメリカ市場へのアクセスを困難にする関税障壁を引き上げるという立場も再確認した。「アメリカで商品を製造しない企業には、相当な関税を課す」と述べ、「メキシコとの国境を越えて入ってくるすべての車には100%の関税を課す」と再度強調した。